塩漬け状態となった総合運動公園計画地。スタンド付きの総合グラウンドを写真中央の丘陵部に建設予定だった。左中段は削った整地が残る=小城市小城町畑田(ドローンで撮影)

 小城市が総合運動公園整備計画を中止した13万平方メートルの広大な市有地が、活用策を見いだせず、「塩漬け」状態が続いている。大半が山林で巨額の整備費が必要とあって民間からの買い手も挙がらない。中止決定から16年。大型公共工事見直し後の処理の難しさが浮き彫りとなっている。

 塩漬け状態の土地は、旧小城町時代、スポーツ拠点整備を目指し1989年に構想が浮上した。98年度に実施設計を作り、99年11月に着工した。しかし、大型公共事業が争点となった2000年6月の町長選で現市長の江里口秀次氏が計画見直しの公約を掲げて初当選。旧小城町土地開発基金が運動公園事業のため3億9800万円で用地を先行取得していたが、中止に踏み切った。

 92年から4年がかりで地権者約40人の合意をまとめた地元の男性は今も市への不信感を募らせる。「住民の財産を犠牲にした事業なら、実現に向け首長が代わっても引き継ぐのが行政の役目ではないのか」。地権者の半数は亡くなったといい、「地域は宅地造成で戸数が当時より約10倍に膨れ、塩漬け問題は忘れ去られようとしている」と嘆く。

 当時の町議会が事業中止のため約9億3千万円を減額する一般会計補正予算案を1票差で可決後、江里口氏や複数の議員が男性の元に訪れ、地域内の別の場所に代替のスポーツ施設造成を提案した。しかし、地元住民が生業にしていたミカン畑など山林を売り払った元計画地の活用策をただすと返答はなかったという。その後、乗馬クラブ誘致などが持ち上がっては消え、市は今も土地利用計画の輪郭さえ描けずにいる。

 一方で市は13年度末までに約7万平方メートルを計2億7800万円で市土地開発基金から買い取った。着工時に整備していたごく一部は市民農園、残土置き場などに使っている。やぶに覆われ起伏の激しい山間地5万7520平方メートルは基金の所有のままとなっている。

 財政難もあって市は14、15年度は買い取りを見送った。9月議会で市議から計画跡地の利活用策を問われた江里口市長は定住エリア設置や福祉施設誘致を挙げ、「民間参画の中でどう開発を計画するかが重要。市単独では難しい」と答えた。だが別の市議は、何年も前から変わらない答弁とし「塩漬け状態から1ミリも抜け出そうとしない。跡地の本格的な利活用は無理だろう」と諦め気味だ。

 運動公園構想に関わった元小城町職員は計画性のない土地の買い戻しには慎重さを求める。「残りの土地は利用価値が低いだけに、買い取りを見送るのは当然。逆に買い戻して未活用の土地は何に使うつもりなのか、きちんと説明すべき」と指摘する。

=ズーム= 土地開発基金

 道路や施設整備などの公共事業に伴い、土地をあらかじめ取得し円滑な執行を図るため、国の指導で1970年代に地方交付税を原資に各自治体に設置。80年代後半からのバブル時代には土地が高騰し、用地を先行取得する意味合いが強くなった。小城市の基金は2005年の合併時に設立、15年度末の保有額は11億1260万円。所有する土地は6万877平方メートル(資産額にすると1億5255万円)。

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