衆院東京10区、福岡6区のダブル補欠選挙は“自民2勝”に終わった。東京10区は公明党が推薦する自民党前職若狭勝氏(59)、福岡6区は保守分裂選挙となり、自民党は新人鳩山二郎氏(37)を選挙後に追加公認した。

 自民2勝とはいえ、その内実は必ずしも盤石ではない。

 東京10区は、自民党への支持というよりも、小池百合子都知事の人気が後押ししたのは間違いないだろう。安倍晋三首相が小池知事とともに応援演説に入り関係修復をアピールしてみせたが、その足元では依然として都知事選のしこりがくすぶったままだ。

 自民都連は、都知事選で小池氏を支援した豊島、練馬両区議7人を離党勧告処分としており、この問題をどうさばくかが、今後の課題として残っているからだ。

 福岡6区にしても、候補者調整に失敗して保守分裂に陥り、当選後の追加公認でどうにか議席を守った格好だ。急逝した鳩山邦夫元総務相の次男による「弔い合戦」だったが、鳩山氏を支援する菅義偉官房長官に対し、麻生太郎副総理は別の新人に回り、今後の政権運営にも微妙な影を落とす。

 臨時国会では、環太平洋連携協定(TPP)の審議を巡って、山本有二農相から「強行採決」発言が飛び出すなど、巨大与党のおごりが目立つ。今回の選挙結果を受けて、菅官房長官は「政権運営が理解された」と強調したが、与党は慢心せずに引き締めるべきだ。

 曲がりなりにも2議席を確保した自民に対して、蓮舫代表の初陣となった民進党はふがいない。「民進党の公認候補」を前面に出して闘ったが、どうにも分かりにくかった。党内や支持母体の根強い共産アレルギーに配慮して“共産隠し”に徹したようだが、共産党から候補者を取り下げてもらっても政策協定は結ばず、他党からの推薦も受けようとはしなかった。こうした姿勢は有権者にどう映っただろうか。

 次の衆院選挙は政権選択の選挙でもある。蓮舫氏は「綱領や政策が違う政党とは連立は組まない」としているが、小選挙区で候補者を一本化する野党共闘路線そのものは続けるつもりのようだ。今回のように他党の推薦を断り、政策協定も結ばず、野党共闘の先にある将来像をあいまいにしたまま、有権者に白紙委任を求めるようなやり方は通用しないのではないか。

 16日の新潟県知事選は原発再稼働が争点となり、共産など3党推薦の候補が自公推薦候補を破る“新潟ショック”となった。対立軸をはっきりと示しつつ野党が共闘して政策論争に挑めば、有権者の支持につながるということだろう。

 巨大与党にどう対抗するのか。民進党には、野党第1党として有権者に選択肢を示す責務がある。

 安倍首相が来年1月にも衆院解散・総選挙に踏み切るという観測が消えない。ここまで解散風をあおってきた自民党の二階俊博幹事長は「日本中で自民党が支持されているかどうかは慎重に検討して対応すべきだ」と、ややトーンダウンしたが、いつ解散してもおかしくはない。国会ではTPPをはじめ、重要法案が山積している。論戦を通じて、与野党ともに対立軸を鮮明にするよう求めたい。(古賀史生)

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