生活の足としてタクシーを利用する高齢者。来年3月から免許返納の高齢者を対象に割引サービスが始まる=佐賀市

■高齢者の運転事故防げ

 2017年3月から「生活の足」補う

 高齢者の運転による事故を防ごうと、佐賀県バス・タクシー協会(金子晴信会長)の加盟45社と51の個人タクシーが共同で、来年3月から、運転免許を自主返納した65歳以上の高齢者に、運賃を1割引きするサービスを始める。先行実施している11社の実績が伸びており、ニーズがあると判断した。九州では初めて県全域をカバーする。公共交通機関が不十分な地域で他に移動手段がなく、返納したくてもできない人たちを後押しし、通院や買い物など「生活の足」を補う。

 高齢者への運賃割引サービスは、県内では2008年から始まり、現在は武雄市や鹿島市などの11社が導入している。免許返納後に渡される「運転経歴証明書」を提示することで1割引きしている。武雄タクシー(武雄市)は年間約2400件の利用があり、太田幹男常務は「免許返納した高齢の常連客を中心に、年々利用が増えている」と手応えを感じている。

 免許を自主返納していれば、高齢者以外も適用する。サービス開始は、高齢運転者の事故対策を強化した改正道路交通法の施行日の3月12日に合わせた。

 県内の運転免許人口約56万人のうち、65歳以上は約13万人。今年は11月末までに7033件の人身事故があり、65歳以上の高齢者が原因の事故は1439件で全体の約2割を占める。県警によると、高齢者の免許自主返納は11年から増加傾向にあり、今年は11月までに1223件に上った。県警の担当者は「割引による経済負担の低減が免許返納をさらに促すきっかけの一つになれば」と話す。

 タクシー業界は、利用低迷の打開策としても力を入れる。県内の法人タクシーの15年度営業収入は前年度比3%減の約54億円で、ピークだった1991年度の126億円から半減。輸送人員も15年度は615万人で、ピークの80年度1995万人から3分の1に落ち込んでいる。

 県バス・タクシー協会は「高齢者の事故を減らしながら、業界の利用者増加にもつながってほしい」と期待を込め、各警察署や運転免許センターにパンフレットを置いて周知に努める。

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