民進・原口一博衆院議員(57)

■尊厳と自由に正当な思想を

 -憲法改正に賛成か。

 「民進党は未来志向の憲法を国民と共に構想すると定めている。改正と言うより、憲法体系を歴史に合わせて考えていく立場だ」

 -個人的にはどうか。

 「現行憲法に手を触れないということではない。安全保障や自衛隊の位置付けを明確に書き込み、平和主義をより強化していこうという考えだ」

 -改憲で関心のある条項は何か。

 「9条だ。集団的自衛権の行使を認めないことや、交戦権の否定もしっかり確認すべきだ。改憲項目としての9条の優先順位は低くない。学者の中には、そもそも自衛隊を認めた時に大きな憲法解釈をしたという声が多い。国民に憲法は空文化しているとの恐れを抱かせないためにも、正面から議論した方が良い」

 -自民党は憲法改正草案で9条2項を削り、国防軍を規定している。

 「走りすぎ。あそこに行ってしまうのかなと。自衛隊は合憲と書けばいいだけで、わざわざ『軍』という言葉を使う必要はない。2項で定める戦力の不保持や交戦権の否認を外そうとするから、ああいう書きぶりになってしまう」

 -草案をどう評価する。

 「あの草案は現行憲法の崇高さに比してあまりにシャビー(粗末)だ。人間は生まれながらにして自由、平等だとする天賦人権論を否定する思想的背景がよく分からない。個人の自由と人権が保障されてはじめて国家の正当性が出てくる。その前提が抜け落ちてしまっては、日本は『国家ありて個人あり』というかつての国家主義の亡霊を引きずっているのではと世界から誤解されかねない」

 -改憲の議論に必要な視点は。

 「佐賀が生んだ初代司法卿、江藤新平侯の言葉に尽きる。『全ての法律の元は人権である』と。憲法を議論する上での最低条件は、人間の尊厳と自由に正当な思想を持ち、歴史と正対してそれを保障する行動を取ることだ。民主党時代の2005年、枝野幸男氏らと憲法提言をまとめた。これは民進党としての十分な対案になり得る」

 -今国会で憲法審査会が再開される見通しだ。

 「まずは前提として立憲主義の議論をすべきだ。審査会ではずっと与野党が互いの共通土壌を確認、尊重しながら議論してきた。その伝統が集団的自衛権行使の問題で吹っ飛んだ。憲法の主役は国民だ。緊急事態条項なんてものを最初の議題にするのはとんでもない話だ。これは緊急事態を宣言すれば何でもできるというトランプでいうとスペードのエース。権力の暴走に加担するようなものから議論すべきではない。万が一の大災害にも基本法で十分に対応できる」

■略歴

 はらぐち・かずひろ 松下政経塾から県議2期を経て、1996年の衆院選で初当選した。7期目。元総務相。民進党県連最高顧問。佐賀市。

 ■憲法9条 1項で戦争と武力行使を「国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する」とし、2項で「陸海空軍その他の戦力は保持しない」「国の交戦権は認めない」と定める。自民党の改憲草案は2項を削除し、制約のない「自衛権の発動」、国防軍の保持を規定する。

このエントリーをはてなブックマークに追加