本番へ向け地上のクルーと飛行経路の確認などをする上田諭選手(中央)=佐賀市の嘉瀬川河川敷

 「ワンテンポ待った方がいい」。地上クルーの無線指示に従い、上田諭(さとし)選手(29)=佐賀市=が高さ2メートルまで下降した熱気球から投じたマーカーは、目標の「×」印の中心からわずか6センチの位置に落ちた。「おー」。地上クルーがガッツポーズして歓声を上げた。16日、岩手県一関市で26機が競ったホンダグランプリ第4戦。最終タスク(競技種目)でチームは千点満点を獲得、4位に付けた。28日から始まる世界選手権へ確かな手応えを感じた。

 19年ぶりの佐賀市開催となる世界選手権は31カ国・地域の強豪105機が集結し、世界王者を決める。2014年のブラジル大会で優勝し連覇が懸かる現チャンピオン藤田雄大選手(栃木)はじめ、2度栄冠を手にしたジョン・ペトレン選手(米国)や昨年佐賀でのプレ大会を制覇し勢いに乗るロカス・コスティウスケヴィチウス選手(リトアニア)らトップクラスが顔をそろえる。

 並み居る猛者たちに、唯一の地元出場、上田選手は前回31位の経験を生かし「佐賀のドリームチーム」で挑む。目標は10位以内。支えるのは、10年の日本選手権とパシフィックカップの2冠を制した飯盛(いさかり)一保さん(38)ら佐賀のパイロット3人。10年間同じチームで切磋琢磨(せっさたくま)してきたメンバー。上田選手の癖を見越して作戦を立てられるチームワークが強みだ。

 高齢化で海外の大会へ出場する県内選手が減る中、第一線で活躍する4人がいるチームはまさに佐賀代表でもある。ブレーンの飯盛さんも「(藤田選手のチームに)劣っているとは思わない」と胸を張る。

 ハイレベルの戦いに上田選手がどう臨むか。89年の世界選手権に出場した北島健郎さん(67)=小城市=も「楽しみ」と注目する。「ターゲット(×印)中心にマーカーの山ができていた」と当時を振り返り、数センチの争いを実感した。「日の丸と佐賀を背負って出場するのはパイロットにとって名誉なこと。頑張ってほしい」とエールを送る。

 大会は昨年に引き続きレス・パーフィールド競技委員長が仕切る。「理想を言えば30タスクやりたい」と話し、予定通り実施されれば佐賀では過去最多のタスク数となる。1日平均4~5タスクをこなす必要がある。3日間の公式練習後、7日間の競技に臨む長期戦は、チームとしての地力と集中力が問われる。

 競技入りまで1週間を切った。「気球が好きというだけで集まったメンバーが、どこまでやれるか」。直前の一関戦で「やりたいことが全部できた」と上り調子の上田選手。地元での夢舞台への準備は整った。

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 19年ぶり3回目の佐賀市開催となる熱気球世界選手権で、地元選手や大会スタッフ、ボランティアらの目を通して佐賀が培い、世界が認める「バルーン文化」に迫る。

=Fly Up 風は佐賀色= =2016熱気球世界選手権=

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