2017年1月から暮らしに関係する税制や制度、料金が変更される。年収1千万円超の会社員の給与所得控除が縮小して増税となるほか、家庭向けの地震保険料は全国平均で5・1%値上がりする。家計への影響がじわりと広がりそうだ。一方、育児や介護を抱える会社員らに対しては負担軽減に向けた制度改定が実施される。

 給与所得控除は年収の一部を「必要経費」とみなし、課税対象から差し引く仕組み。年収が増えるほど控除額が大きくなり、15年までは年収1500万円超で控除額を一律245万円にしていた。それが16年1月から年収1200万円超で一律230万円に引き下げられ、17年1月には年収1千万円超で一律220万円に下がる。対象となる会社員は約170万人とみられる。

 地震保険の値上げはマンションなど耐火性の高い建物で、保険金額1千万円、保険期間1年を条件にすると、佐賀など36都県で値上がりし、北海道や愛知、和歌山など11道府県は値下がりする。

 大阪府はホテルや旅館の宿泊客を対象に1泊1万円以上で100~300円を徴収する宿泊税を導入。東京23区や都内一部地域ではタクシーの初乗り運賃が1月30日から「1・052キロ=380~410円」になる。高齢者らの短距離利用を促すのが狙いで、現行は「2キロ=700~730円」だった。

 働き方では最長93日の介護休業について3回までの分割取得を可能にする。介護が必要な間は残業が免除される制度も開始。育児休業も条件緩和で非正規のパート従業員らも利用しやすくなる。企業には、妊娠や出産を理由とする嫌がらせ「マタニティーハラスメント」の防止策を義務付ける。また高齢者の就労増加を受け、65歳以上でも雇用保険への新規加入を可能にし、失業手当を受け取れるようにする。

 医療用医薬品を転用した一部市販薬は、購入額が年1万2千円を超えると超過額を所得から控除できる。胃腸薬など約1500品目が対象だ。

 個人型確定拠出年金は加入対象が広がり、20歳以上60歳未満なら誰でも入れるようになる。掛け金を運用して将来受け取る仕組みで、掛け金を所得から控除する。

 百貨店の大半は1月2日に初売りを行うが、三越伊勢丹ホールディングスは働き方改革の一環で3日にずらす取り組みを地方の一部にも広げる。【共同】

▼「離職ゼロ」目標 子育てで休みやすく

 来年1月からの介護休業や育児休業などの改正は、制度を使いやすくしたり、対象者を広げたりする内容だ。政府が掲げる「介護離職ゼロ」「希望出生率1・8」に向けた取り組みの一環だが、利用しづらい職場の雰囲気の解消が課題となる。

 93日間の介護休業は老人ホームを探したり、在宅サービスを手配したりするのに充ててもらう目的だが、現行では原則1回限り。使い勝手が悪いため、3回まで分割して取れるようにする。休みの間は賃金の67%を雇用保険から受け取れる。介護が必要な家族を抱える従業員は残業が免除される制度も始まる。

 育休では、パートなど非正規労働者の取得条件を緩和。1年以上雇用されていれば、子どもが1歳半になる前に契約が終了して更新されないことが明確な場合を除き、利用が可能になる。

 養子縁組を希望する里親も対象に加えるほか、6歳未満の子を実子として引き取る「特別養子縁組」の場合は、縁組成立までの試験養育中も育休を取れるようにする。【共同】

▼年金資産運用 「イデコ」税制面優遇

 1月から20歳以上60歳未満の人なら誰でも加入できるようになる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は公的年金に上乗せする私的年金の一種で、税制面で優遇されている。公的年金の支給が目減りする中で、政府は補完する役割として普及を目指している。

 iDeCoは国民年金や厚生年金とは違い、加入者自身が継続的にお金を積み立て、投資運用する仕組み。掛け金は所得税の課税対象額から控除され、運用益も非課税。受け取る時も所得控除などの優遇措置がある。

 これまでの対象は自営業者や一部の会社員などに限られていたが、専業主婦や公務員にも拡大される。掛け金は月5千円から千円単位で設定でき、上限額は公務員なら月1万2千円、専業主婦なら2万3千円。

 ただ、運用の責任は加入者個人が負うため、リスク管理には注意が必要になる。価格変動の激しい株式などの信託投資ではなく、元本確保型の預貯金や保険商品を選ぶこともできる。組み合わせて運用することも可能。

 積み立てた資産を受け取り始めるのは60歳から。原則として途中で取り崩したり脱退したりすることができない。【共同】

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