バーナーを取り付けたバスケットを倒し、球皮とつなげる手順を学ぶボランティア講習会の参加者ら=佐賀市の嘉瀬川河川敷

■延べ3500人、開幕へ準備着々

 夜明け前、LED(発光ダイオード)をくくりつけた風船が舞った。16日午前4時すぎ。佐賀大学熱気球部部員たちはLEDの光を頼りに上空1800メートルの風の状況を読んだ。岩手県一関市で繰り広げられた熱気球のホンダグランプリ第4戦。28日に佐賀市で始まる世界選手権の実践訓練にもなった。

 熱気球部員の一部は世界選手権で気象班スタッフを務める。ヘリウムを入れた風船を空に放ち、風に流される様子から風向や風速を計測する。部員が集める気象情報は、実施競技を決めたり選手が作戦を練ったりする材料になる。気象班に参加する副主将の清水美郷さん(21)は「世界選手権を特に意識せず、今まで通り正確な情報を競技者に伝えたい」と意気込む。

 大会は多くのボランティアの支えで成り立っている。気球の立ち上げを補助するクルーボランティアや気球搭載車を運転する競技ドライバーから、会場内の迷子センタースタッフ、イベントの運営補助などさまざま。10日間で延べ3500人に上る。例年の4倍近い数で、実行委員会は1カ月半早く募集を始めて何とか目標数を確保した。

 バルーンへの興味からボランティアを始める人も多い。9日、佐賀市の嘉瀬川河川敷で開かれた気球の立ち上げ方を学ぶ講習会。世代が異なる男女70人が地面に球皮を広げながら会話を交わす。「いろんな人が参加するのね」。佐賀市の川久保優子さん(47)も、近くの人に「初参加なんです」と声を掛けた。

 初めて気球に触れる人ばかり。優子さんは大学生の長男滉平さん(20)と一緒に、変形気球を立ち上げる「ファンタジアクルー」に就く。「バスケットは風上に、球皮は風下に置いて」。注意点を確認しながら、気球を立ち上げる。子どものころ、自転車でバルーンを追い掛けたことがある滉平さんは「微力でも力になれたら」と笑った。

 通常、市が仲介して選手とクルーをマッチングするが、外国人選手が直接指名することもある。八谷恵梨子さん(28)=神埼市=は佐賀大会に6年連続クルーとして参加するベテラン。今回もポーランドチームから2度目の指名を受けた。「いい点を取ったときは一緒に喜べるのがうれしい。クルーとして参加すれば、観客から一歩踏み込んだ楽しみ方ができる」

 世界選手権をきっかけにボランティアの裾野が広がり、申し込みは東京や千葉など遠方からもあった。ボランティア受付を担当する市熱気球世界選手権推進室の田中亜希子さん(35)は「佐賀のビッグイベントを楽しんでもらえるよう、最終日まで気を抜けない」。参加確認や配置変更など最後まで調整に追われる。

=Fly Up 風は佐賀色= =2016熱気球世界選手権=

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