タイの進出メリット、現地市場について語る一迫守さん=佐賀市の佐賀商工ビル

ラオスの安価な電力、製造業向きの国民性について紹介する庄浩充さん=佐賀市の佐賀商工ビル

 発展著しい東南アジアの市場について学ぶセミナー(ジェトロ佐賀貿易情報センター、佐賀県主催)が、佐賀市の佐賀商工ビルで開かれた。ジェトロ・バンコク事務所海外コーディネーターの一迫守さんがタイの経済情勢を、ジェトロ広報課の庄浩充さんがラオスの投資環境などについて報告した。県内の中小企業にとって現地進出のヒントになった講演要旨を紹介する。

【タイ】「親日的」インフラ整う ジェトロ・バンコク事務所 一迫守さん

 タイは他の近隣国に比べて産業集積がある。日本企業が数多くあり、中小企業にとっては進出しやすいインフラがそろった国といえる。

 現地の市場は大きく変わっている。日本への留学経験があるタイの財閥らが日本企業と手を結び、コンビニやドラッグストア、ブランド衣料品店などを次々と開業させている。「健康的で安全」というイメージの日本食は地元で人気、飽和状態といえるほど日本の飲食店チェーンの数が多い。

 庶民の足だったバイクも富裕層向けの高級大型車が売れている。日本企業はもちろん、米国企業も地元に工場を造ったほどだ。化粧品市場も急成長している。日本の大企業はタイに開発部門を置き、現地の市場に合わせた仕様、品質、コストを探っている。

 タイ人による「ローカル企業」は労働集約的な仕事で大幅なコストダウンを実現している。明治時代に使われたような器具で、大量の人員でものづくりをしており、日本の大企業も仕事を依頼している。協業する場合、製造にきちんと取り組むよう厳しく確認することが重要だ。

 こうした動きからタイの人手不足は深刻で、有能な人材を発掘するにはお金がかかる可能性がある。進出するためには自社で考え抜くのはもちろん、現場に精通した人とのネットワークが不可欠。ジェトロの事業も活用してほしい。

【ラオス】安い人件費、電力も安定 ジェトロ広報課 庄浩充さん

 ラオスは農業国で、スラムがない豊かな国。高床式の家、竹で編んだ橋が地方に残る一方、首都では高層マンションがずらりと並んでいる。ベトナムや中国の資本でインフラを開発、順調に経済が成長している。

 意外と知られていないが、ラオスの強みは「安価で安定的な電力」。高地から数多くの支流がメコン川に流れ込む利点を生かし、政府が水力発電ダム建設を積極的に進めている。

 信仰心が厚くて温和な国民性、タイの3分の1以下で済む安価な人件費も特長だ。機織りやかご編みで鍛えた手先の器用さは、縫製作業などに力を発揮する。農繁期は仕事を休み、流れ作業が苦手という点には配慮が必要だ。

 人件費が高騰した中国やタイから工場の一部をラオスに移転する「生産分業」が近年目立ってきている。目が良くて手先が器用な点に着目し、和装小物、医療機器製造の日系企業が進出した事例もある。

 不動産開発は外資主導で過熱気味だ。次々と立つ大型商業施設に入るテナントは少なく、商機があるか見極めが必要と思う。卸、小売業への規制は緩和傾向にある。

 ただ、人口が約650万人と少なく、港湾がないため輸送コストが高い。大企業はこうした点を気にしがちだが、中小企業にとってはビジネスチャンスになり得るのではないか。

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