風邪のひきはじめは、しょうが湯か、くず湯が欲しくなる。ムーミンのふるさと、フィンランドでは「たまねぎとお砂糖いりのあたたかいミルク」を飲むらしい。『ムーミンパパの思い出』(ヤンソン作、講談社文庫)に出てくる◆災害時、真っ先に困るのが赤ちゃん用のミルク。熊本地震ではフィンランドから、そのまま飲める液体ミルクが西原村の保育園に届けられ、赤ちゃんたちのおなかを満たした。海外では広く普及しているようだが、なぜ日本には粉ミルクしかないのだろう◆生まれたばかりの赤ちゃんがミルクを飲む回数は日に10回を超える。衛生上、作り置きしておくわけにはいかず、欲しがるたびに湯を沸かして人肌にし、粉が溶け残らないよう気を使う◆液体ミルク解禁を求める声に押されて、政府は安全基準などの検討に入った。栄養価の高さは、雑菌の繁殖しやすさと裏表で、どう安全性を確保するかが難しい。授乳が手軽になれば、男性の育児参加にもつながるのではという期待もある◆熊本に液体ミルクを届けたフィンランド大使はムーミンのぬいぐるみも持参していた。「遠い北欧の国も被災者の方々を決して忘れていないというメッセージに」と。ムーミンのミルクに救われた赤ちゃんとママたちはきっと、液体ミルクを見るたび北欧の善意を思い出すに違いない。(史)

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