組織委員会のメンバーと市職員が「コ」の字に座って世界選手権前に状況を確認した=9月12日、佐賀市の会議室

■世代交代、存続へ議論を

 9月中旬、佐賀市の会議室。大会運営を担う組織委員会メンバーと市担当者ら約10人が「コ」の字に座って意見交換した。「今年は187機か。めちゃくちゃ多いな」。参加気球数が報告されると、約30年前の大会黎明(れいめい)期を知るメンバーが感慨深げにつぶやいた。

 例年の佐賀バルーンフェスタは大きく分けて「競技」を任意団体の組織委員会、「イベント」を市などの運営委員会が担う。官民が両輪となる「佐賀方式」で大会は拡大した。今年は両組織で実行委員会をつくる「一枚岩」で世界選手権の準備を進めた。

 バルーンを観光の目玉にしている自治体は全国にある。北海道上士幌町で続く「国内最古」の大会は8月、43回目を迎えた。有志が始めた大会は現在、町が運営する。参加気球32機、来場者数2万3千人。バブル期と比べ規模は半減した。

 町担当者は「『行政がやっているから面白くない』との批判もある。ただ、行政が入らずにここまで続けられていたかどうか」。運営の悩ましさを吐露する。

 誰が大会を運営するか。佐賀のバルーニストが考える契機となる出来事があった。

 「来年、日本選手権が開催できるか微妙になっている」。佐賀熱気球パイロット協会前会長の増本嘉浩さん(42)は昨年夏、バルーン関係者からこう打ち明けられた。日本王者を決める大会なのに、受け手を探す事態になっていた。

 出場選手がいなければ大会は成立せず、大会がなければ選手は飛ぶ機会を失う-。選手たちは、大会と選手の「唇歯輔車(しんしほしゃ)」の関係を思い知った。協会は、日本選手権の誘致を決めた。

 今年6月の佐賀市長杯で、初めて日本選手権を開いた。参加数52機は、佐賀バルーンフェスタに次ぐ屈指の規模だ。県内の多くの選手が運営側に回ることで大会を成立させた。

 佐賀バルーンフェスタでも長期的な大会存続を見据え、「担い手」を巡る議論が必要になっている。

 組織委員会の中心メンバーは60代となり、世代交代は避けて通れない。水町博史会長(68)は「世界選手権では裏方に回るパイロットも多い。運営に関わる転機になれば」と期待する。

 世代交代を進める上で、組織のあり方も論点になる。ある中堅パイロットは「組織委員会の中心は自営業者が多い。勤め人が多い自分たちの世代で同じようなやり方は難しい」。専従職員を置く「法人化」にすべきとの意見もある。水町会長は「長所と短所の整理が必要」と考えている。

 実行委員会体制は今回限り。来年は従来の運営に戻る。パイロット協会の創設者でもある川副薫副会長(68)は、運営と出場で揺れる選手の複雑な胸中を察する。「パイロットは飛びたいからね」。今年も地上からバルーンを見上げる。

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