後継者の川副隆彦さん(左から2人目)から話を聞く中川政七商店の中川淳社長(右から2人目)。会計や商品管理システムの重要性が話題に上った=伊万里市の虎仙窯

 全国の工芸メーカーを相次いで再生させた中川政七商店(奈良県、中川淳社長)のコンサルティングを受け、佐賀を代表する土産品開発を目指す県の支援事業が10月から始動した。菓子メーカー鶴屋(佐賀市)、肥前名尾和紙(同)、伊万里焼・虎仙窯(伊万里市)の老舗3社の後継者が、自社の課題や強みを把握し、経営を革新させようと基礎から学んでいる。

 「勉強不足を痛感した」。1639年創業の鶴屋の堤一博営業部長(37)はこう語る。中川社長から勧められたのは自社の財務状況の完全把握。「これまでは税理士任せの部分も。お金の流れが分からないと正確な経営判断はできないと指摘された」という。

 小規模経営の伝統産業は、製造技術の向上に目が行き、経営に不可欠な経理や生産管理がおろそかになりがちだ。虎仙窯では、商品管理システムの導入が話題に上った。売れ筋や在庫量、製品補充のスケジュールを分かるようにするためで、後継者の川副隆彦さん(35)は「これまでは帳簿を付けていただけ。原価率、利益率など正確に把握できていなかった」と話し、やるべきことが明確になったと強調する。

 中川社長は300年続く麻織物の家業を立て直し、その経験をもとに工芸に特化したコンサルを開始。陶磁器商社、包丁メーカーなど11社を再生させた。商品開発や販路開拓など特定分野にとどまらず総合的に指導しており、「売り上げが絶対的に足りていない。年1千万円以上の新ブランドを作ろう」などと指示も具体的だ。「まずは会社の状況を知ること。その後、ブランドづくり、商品づくり、コミュニケーション設計と四つの段階を踏みながら進めていく」と方針を示す。

 肥前名尾和紙の後継者、谷口弦さん(26)は「顧客に共感してもらえるよう、目指すべき姿を考え抜くよう助言いただいた」といい、中川社長が最初にコンサルを行った波佐見焼商社「マルヒロ」のように、発想の豊かさで若者にアピールするものづくりを目指していく。「本来は自分たちが考えるべきことを手伝ってもらっている。独り立ちできるように1年間しっかり経営を勉強したい」と力強く語った。

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