熱気球世界選手権大会が初めて佐賀で開かれたのは1989年。当時の取材班の一人として思い出深い◆開幕が11月中旬だったので冷え込み、毎朝、夜明け前に白い息を吐きながら選手向けの説明会に急いだことを記憶している。男性にまじり、ただ一人の女性パイロットだった英国の選手を取り上げたり、市民と選手の交流の話題を追った◆すっかり佐賀の代名詞になったバルーン。この地では19年ぶりの熱気球世界選手権大会が開幕した。昨日は悪天候で飛ばなかったが、これからの好天に期待しよう。佐賀が気球のメッカになったのには理由がある。離着陸に適した農地が多く、縦横に農道が走り車で気球を追跡しやすいことや、選手に高い技量が求められる、北の山地と南の有明海からの複雑な風の妙があるからだ◆何より、市民が歓迎し、おもてなしの文化を持つことが大きい。地上から大勢の人が手を振ってくれる大会はほかにないと聞く。今回は、いわば熱気球の五輪。競技としても注目で、ぜひ日本人選手の優勝を見てみたい◆「田んぼに降りたら、小さな女の子が寄ってきてバラの花をくれた」。佐賀での初の世界選手権の時、欧州の選手がうれしそうに話してくれたのを、昨日のことのように覚えている。今回も、市民と選手と観客の大切な思い出の一ページとなるだろう。(章)

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