開館式典であいさつする秀島敏行佐賀市長=佐賀市松原の佐賀バルーンミュージアム

■大会の「今後」考える節目

 世界選手権の1カ月前、「アジア初」との触れ込みで、佐賀市中心街に「バルーンのまち」を象徴する博物館が完成した。「他では見られない、体験できないことができる場所になった」。開館式典でテープカットした秀島敏行市長は満足げに語った。

 熱気球を常設展示するバルーンミュージアムは、旧スーパーの建物を全面改築した。18億円の「箱物」に市民や市議から必要性を問う声もあったが、市は「街のにぎわいづくりに欠かせない」と意義を強調した。1カ月の1日平均来館者は約300人で、担当者は「年間7万人の目標に順調なペース」と評価する。

 79億円-。市が試算した昨年度バルーン大会の経済波及効果だ。市内に「落ちた金」ではなく大会で「動いた金」で、過去5年間は毎年50億~70億円の波及効果があったと算出する。

 市最大の観光事業となった大会は、市民や市費によって支えられている面も大きい。会場設営や光熱費、警備、イベントなど市の支出は1億円前後。大会期間が例年より5日長い10日間の今年は4億3100万円を予算計上した。市職員約300人がスタッフとして汗をかき、ボランティアも延べ3500人を数える。

 昨年度は、河川敷の会場整備費として排水対策に4億8400万円を予算化した。降雨後の排水が大会運営に支障をきたすこともあったといい、20年ぶりの整備に踏み切った。大会が今後も長く続くと見込んでの投資だった。

 熱気球が盛んな長野県佐久市の担当者も、佐賀市に注目する。「国内屈指」(同担当者)の佐久大会でも規模は3分の1程度。「佐賀の規模は桁が違う。間違いなく国内でリードする存在で必死に追い掛けている」と熱視線を送る。

 佐賀大会を国内最大に成長させた要素に「地の利」もある。フライトに好都合な農道が縦横に走る広大な佐賀平野、多くの気球と客、娯楽ブースを収容できる河川敷、福岡都市部から電車1本で乗り入れられる臨時駅。約30年前は数万人規模だった来場者は、今年120万人を見込む。

 複数の熱気球クラブや佐賀大熱気球部など、大会の成長とともにパイロットの育成環境が整う好循環も生まれた。佐賀熱気球パイロット協会にはライセンスを持つ199人が所属する。パイロット不足に悩む地域もある中、佐賀では「若い乗り手が自然と生まれている」(笹川和朗会長)。

 「『佐賀は何もなか』が口癖だった市民が、胸を張って『バルーンがある』と言えるようになった」。秀島市長は、経済性だけではない効果も指摘する。

 世界選手権後もバルーン大会は毎年続いていく。「バルーンのまち」で大会のあり方を考えることは、まちづくりを考えることでもある。

このエントリーをはてなブックマークに追加