県有明水産振興センターが10月中旬に採取したアゲマキ(左4個)。殻長は約4~5センチで、放流した稚貝が成長したものと思われる。右2個はセンター内で育てている産卵用の親貝

 有明海の干潟に生息し、1990年代前半から不漁続きで姿を消していた二枚貝のアゲマキが、鹿島市沿岸で増えている。昨年から今年にかけて1~2歳の若い貝が確認されており、佐賀県有明水産振興センター(小城市芦刈町)は「稚貝放流の成果と思われる」と語る。成長・産卵のサイクルに乗せるため、関係者は貝を採らないよう呼び掛けている。

 同センターは毎年7~9月、アゲマキの生息状況を調べている。アゲマキが採れていた佐賀市と小城市、杵島郡白石町、鹿島市の漁業者7~8人に委託し、それぞれの地域で1人6地点ずつ、一定時間内で見つけた貝の数や干潟の状況を報告してもらっている。

 2014年度までの過去4年間、全地点で見つかったアゲマキの合計は毎年4~20個にとどまっていた。15年度は鹿島市で1地点当たり最大数十個と増え、佐賀市の一部で見つかった数個も含め、全体で226個に上った。その多くは3~5センチの大きさ。16年度も調査を終え、前年度の数を上回る見込みという。

 資源回復に向け、同センターは09年度から稚貝の放流を始めた。センターなどで育てた長さ8ミリの稚貝約100万個を毎冬、鹿島市と藤津郡太良町の2カ所の干潟を中心に1平方メートル当たり千個の密度で放っており、昨年度からは倍の約200万個に増やしている。

 同センターの荒巻裕副所長は「親貝らしい貝はほとんどおらず、調査で見つかったのは放流した稚貝が育ったものと思われる」と話す。これまでの不漁の原因は分かっていないが、「漁業者には『アゲマキがすみ着くと、潟が生息に適した状態になる。放流を続ける中で少しずつ、生き残りやすい環境に変わってきたのでは』との見方もある」という。

 ただ、漁業者の生計を支えていた以前の生息数にはほど遠い。県有明海区漁業調整委員会はアゲマキを保護するため、今年3月から来年8月末までを禁漁期間とし、漁協や沿岸市町に周知している。漁業者以外が採るケースも想定され、事務局は「一般の方も含めて協力してほしい」と話す。

 アゲマキの産卵時期は10月ごろで、3年で9センチほどに成長する。県内の漁獲量は1988年に776トンだったが、91年に75トンに落ち込み、94年からゼロとなっている。

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