■正しい予防法広めよう

 先日行われた佐賀泌尿器科懇話会で話題になったことの一つに、梅毒がありました。全国的にもたびたび梅毒患者の増加はいわれていますが、佐賀県でもその傾向は顕著にみられます。

 梅毒は感染症法で5類感染症に分類され、サーベイランス(感染症発生動向調査)で全数報告の対象となっており、結果も逐次発表されます。県内データは佐賀県のホームページでみられますが、今年はすでに過去10年で最多となっています。

 梅毒は主に性行為で感染します。生殖器や口、肛門などの皮膚、粘膜の微細な傷口から、原因菌である梅毒トレポネーマが侵入し、さまざまな症状を引き起こします。陰部や口唇、口腔(こうくう)内の潰瘍、リンパ節の腫れなどに始まり、手のひらや足の裏などに「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹が出たり、発熱、倦怠(けんたい)感、関節痛などがみられたりします。

 現代の日本では、ほとんどがこれらの症状が起こる時期までに診断され、治療を受けることが多いようです。しかし、無治療のまま数年たつと、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍ができ、10年以上経過すると脳や神経、内臓が侵されていきます。また、女性の感染が増えていることから、妊婦の感染による先天性梅毒の増加も懸念されています。

 性感染症ですので禁欲が最善の予防策になりますが、次善策としては、不特定多数の相手と性行為をしないこと、コンドームを正しく着用することが挙げられます。

 戦後、ペニシリンが普及してから感染者数が激減したため、梅毒は古い病気のような印象がありますが、2012年ごろを境にこれまでにない増加傾向にあります。正しい予防法を広め、これ以上感染が拡大しないよう努めていきたいものです。

 また、梅毒が気になる方は、県内5カ所の保健福祉事務所で匿名・無料で検査を受けることができます。ご相談ください。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

このエントリーをはてなブックマークに追加