▽山口知事 新春インタビュー

「この2年、現場、ミッション、プロセスというキーワードを大事にやってきた中でいろんな芽が出てきた。そういった芽が育つようにやっていきたい」と語る山口祥義知事=佐賀県庁

澤野善文佐賀新聞編集局長のインタビューに応じる山口祥義知事(左)=佐賀県庁

県政の課題について取り組みを述べる山口祥義知事=佐賀県庁

■諫早開門 基金案乗れない / オスプレイ 方向性出る環境できれば / 明治維新150年 博覧会で誇り醸成

 山口祥義知事は間もなく知事就任2年となり、任期折り返しを迎える。今年は玄海原発再稼働、佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画、九州新幹線長崎ルート、諫早湾干拓の開門など国策絡みの課題が節目を迎え、判断を迫られる年になる。山口知事に今年の展望を聞いた。(聞き手・澤野善文編集局長)

 知事就任2年。ここまでの県政運営について自己評価を。

  知事  毎日毎日真剣に取り組んできたと思っている。評価自体は県民の評価を待とうと思うが、日本国内だけでなく世界が激動する中で、環境を考えながら方向性を定めていくということでベストを尽くしてきたという思いはある。

 「佐賀さいこう」や「子育てし大(たい)県」などキャッチフレーズを打ち出してソフト事業に重点的に取り組んできたという印象がある。それぞれの取り組みの効果をどう考えているか。

  知事  ソフトとハードについては、ソフトがあって、必要性があってのハードだと考えている。就任してすぐにハードを手掛けるのはおかしい話だと思っていたので、「佐賀さいこう」や「子育てし大県」にしても自分で打ち出してみて、前に進めてみて割と賛同を得てきたのかなと思っている。それに必要なものをこれから整備していく。

 情報発信は、佐賀の最高のものをどうえぐり出して売り出していくのかというところだと思っていた。そういった意味では二つのキーワード、「さが創生」、下からの力・住民の力と、「さがデザイン」というコピーとか考え方だったり、コンセプト、デザインだったりというような力が相まって佐賀らしさを発揮できると考えている。

 オスプレイ、原発再稼働、開門問題、新幹線といった国策課題について、知事の考えと今後の展望を示してほしい。

  知事  オスプレイについては、当初「白紙」というところから手順を踏んで計画の全体像・将来像を示していただくようなプロセスを経た。途中で米軍の訓練移転が切り離された流れの中で、(施設配置の)図面が出てきた。昨年の11月議会で、ある程度の検討項目を示すという話をしたが、年末に沖縄で(米軍機の)重大な事故が起きた。それに対して原因の特定だとか情報公開だったり、そういった問題が横たわっている。まずそれに対応していただくということがポイントだ。その上で、地権者(への説明)と、米軍に関する首相発言の確認とか、になると思う。

 諌早干拓については、基金案が出てきて農水省の考えに他の3県が乗りそうな感じになってきている。佐賀県としては今後どう見通しているのか。

  知事  有明海を宝の海に再生したいとの思いは4県共通だろう。そのための取り組みをしてきたわけで、今少し光が見えてきたものもある。(国は)そういった事業についてこれからもしっかりと取り組んでいくんだろうと思う。その問題と開門調査の問題が何かリンクしたような形になっていることに問題があると思っているので、うちとしては佐賀県の漁業者の皆さんに寄り添っていくというスタンスは大切にしていきたい。基金案に乗ることは現状ではありえない。

 新幹線についてもフリーゲージトレイン(FGT)がどうなるか霧の中といった感じだが、一部ではフル規格を求める声も上がっている。今までの新幹線の(財政負担)スキームが崩れるのなら応じてもいいという考えはあるのか。

  知事  私、この問題に関しては単純で、そもそも佐賀県として新幹線自体どうだったのという疑問は私個人あるものの、三者合意があってそれは知事として守らなければいけないなと思っていた。FGTが2022年に間に合わなくなりそうとの話になったので、交渉をさんざんして6者合意で22年度の暫定開業が決まった。私としては武雄や嬉野のために一生懸命その準備をしようと思っている。

 FGTの開発は国が頑張るだろうと。それに尽きる。もしフル規格という話になれば、今のスキームであれば佐賀県は800億~900億円の持ち出しがあり、私の中ではそのコストを払ってまでやる事業ではないと考えている。フル規格自体ダメと言っているわけではない。フル規格だと安全性も優れていることは分かるが、今県政ではやりたいことがいっぱいある。新幹線に800億円も出すことは考えられない。

 有田焼400年事業の評価を、知事としてどう考えているのか。

  知事  有田焼も非常に厳しい中で、これでもう一度元気を出して前を向こうという状況が整ったのかなと。もちろんこれで何ができているわけではなくて、「挑戦なくして伝統なし」という中で、世界というフィールドで挑戦しようと。現状にあぐらをかいてはいけないという意識をみんな持つことができたし、そのきっかけを県がつくることもできた。今後は県が強烈にバックアップしていくという態勢ができる。

 2017年に「これは成し遂げたい」「この1年でメド

をつけたい」という県政課題があれば。

  知事  自分で決めることではないが、オスプレイの問題は方向性が出るような形で環境ができてくればと思う。今、佐賀県はやらなければならないことがたくさんある。国策的なものはある程度いろんな環境の中で整理されていくということが必要だ。

 今年はプレ明治維新150年。これについてはどうか。

  知事  薩長土肥で明治維新150年を、という話になって4県知事が会った時に、佐賀だけ何もやらないのかということが分かった。他の3県に比べて佐賀県は「肥前」という意識があまりない、弱かったんだと思う。そこでわれわれが誇りを取り戻すためにも、明治維新150年の取り組みを成し遂げることが先人たちへの大きなエールだと思っている。

 今年はパリ万博に日本が出展して150年。パリ万博に出たのが、江戸幕府と佐賀藩と薩摩藩だけだった。うちは有田焼を売ったということもある。来年には明治維新150年で肥前佐賀幕末維新博をやろうと思っている。有田焼については明治維新150年の中で位置付けて、さらに先に向かっていくという土壌をつくることで「ポスト400年」につなげたいとも考えている。

 今年一年間で猛烈に準備をして、全県に広がるような博覧会を開いて、多くの市町の皆さんに参加してもらって佐賀を誇りに思うような態勢を築きたい。

 ここからの2年間が重要で、ここでしっかりとベースができれば、その後は東京五輪があったり、佐賀国体があったりしてやっていける。佐賀県人が佐賀のことをしっかり分かって、そこの部分が志として入っていかないと積み重ねるものが砂上の楼閣になる。県総出、官民一体、県民こぞって盛り上げていく好機だと思う。

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