18歳選挙権報道などについて議論を深めた「報道と読者委員会」=佐賀市天神の佐賀新聞社

【本社報告】

 毎週日曜日に発行している「子ども佐賀新聞 週刊ぺーぱくん」は4月に刷新した。本紙との連動を念頭に「親が子どもに読ませたい新聞」を目指している。

 発行までの1週間に、本紙に掲載した子どもの写真を転載している。本紙を読み返してもらえるように、簡単な記事の内容と日付も添えている。

 スポーツ面に掲載していた小中学生のスポーツ大会の成績は、子ども佐賀新聞に移した。以前は別の世代のスポーツに埋もれてしまい、掲載も遅れがちだったが、毎週掲載できるようになった。競技ごとにまとめて紹介するなど、より充実させていく。

 教育現場で新聞を活用するNIEとの連動も強化している。学校で活用しやすいように、紙面はPDFでダウンロードできる。また、月に1回はワークシートを作成して掲載している。

 ウェブサイトでは、クラブ活動紹介に登場するチームや意見を募集し、読者との双方向性を目指している。プレゼント応募では簡易なアンケートを実施し、読者の声や流行の把握に役立てている。

 大野 活用マニュアルあれば

 千綿 ホッとするコーナーも

 大野委員 中学1年の息子に小学生の時から読ませている。息子は興味のある漫画や動物などの記事しか読んでいないようだが、新聞に慣れ親しむにはそれでいいと思っている。

 障害の有無に関わらず学びやすい環境をつくる「ユニバーサルデザイン教育」でも同じことが言えるが、毎回同じ場所に、連載など同じものが載っていると、子どもたちに分かりやすい。連載は線で囲むなどして切り取りやすくレイアウトしてほしい。

 千綿委員 仕事をしている人の話は、子どもたちが将来、何をなりわいとして生きていくかを考える上でためになる。子どもたちが書いた記事が載っているが、調べたことに対しての提案だったり、子どもと地域の取り組みだったり、双方向のやりとりがあると継続して読む楽しみがある。子どもたちが意見を出し、そのアイデアを生かすツールになれば面白い。

 上野委員 「夏休み子ども記者」が記事を執筆した9月1日号は、旧跡が多いなどテーマに偏りを感じた。悩みを抱えている子どもが夏休み明けに自殺するケースが多いという統計もあるので、防止を呼び掛ける紙面構成があってもいいのではと思った。

 宮島委員 刷新した4月号は、内容を詰め込みすぎてはいなかっただろうか? 3月号の方がすっきりしていたような印象がある。

 牟田委員 小学4年の娘は毎週、楽しみにしている。娘が読んだ後、高校1年の息子もそっと読んでいる。卒業した学校が載っているとうれしいみたいだ。

 大野委員 教育への意識が高い親が増えていると思う。「何年生の子にはこんな活用法がある」とか、使い方のマニュアルがあれば、親も子どもに読むことを提案しやすい。

 中尾社長 保護者の活用法を紹介したらいいのかもしれない。

 千綿委員 この紙面に登場する子はキラキラしている。不登校の子どもたちにとっては、そうじゃない自分を感じてつらいかもしれない。「こうあるべき」というふうに捉えられかねない。学校になじめず、行き詰まっている子がホッとするようなコーナーがあるといい。

【まとめ】編集局長・澤野善文

 18歳選挙権折に触れ提起

 新聞が若い世代にどうやってアプローチしていくのか。政治や選挙というテーマに限らず、活字離れが進む中、かねがね心掛けていることがある。それは、新聞を手に取ってもらうため、どう工夫するか。今回は「1人でも多い若者の声を聞き、それを紙面に反映する」だった。同世代の主張や思いをできるだけ掲載することで新聞、ひいては18歳選挙権について興味を喚起できればと考えた。

 委員からは「丁寧な取材で高校生らの声をよく拾っていた」「企画も全体的によく練られていた」との評価をいただいた。一方で投票の有無も含め当事者たちはどう感じ、どう行動したかという事後報道の物足りなさが指摘された。

 投票行動は投票率をもとに分析、事後連載でも取り上げたが、それだけでは若者の意識を探るには十分ではなかったのだ。結果の分析や解説は、新聞が得意とする分野でもあり、早速取り組んでみたい。

 民主主義の構成員として社会参加に欠かせない知識、技能、価値観の習得、つまり「主権者教育」の必要性にも言及してもらった。これは学校現場や家庭などが一義的には教えていくのだろうが、新聞がもっと説き起こしてほしいという要望である。

 18歳選挙権は地方選挙でも実施されていく。今回の報道を一過性に終わらせるのではなく、折に触れ問題提起することが有権者の育成につながると信じている。

 「学校になじめない子どもたちに寄り添ったコーナーも欲しい」。子ども佐賀新聞についても貴重な意見をもらった。紙面づくりに完成形はない。「手に取ってもらう」をコンセプトに、これからも読者との双方向性を心掛け、臨んでいきたい。

【本社出席者】 中尾清一郎社長、富吉賢太郎編集主幹、澤野善文編集局長、松田毅編集局次長、大隈知彦報道部長、丸田康循生活文化部長、辻村圭介報道部デスク、中野星次メディアコンテンツ部デスク

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