弁護士(座長) 牟田清敬氏

宮島醤油社長 宮島清一氏

佐賀大大学院教授 上野景三氏

むらつむぎ代表 千綿由美氏

社会起業家・ユニカレさが代表 大野博之氏

出席者 (順不同)

 社会起業家・ユニカレさが代表 大野博之氏

 むらつむぎ代表 千綿由美氏

 佐賀大大学院教授 上野景三氏

 宮島醤油社長 宮島清一氏

 弁護士(座長) 牟田清敬氏

 佐賀新聞の報道のあり方を議論する第三者機関「報道と読者委員会」の第7期委員(牟田清敬座長、5人)の初会合が24日、佐賀新聞社であり、7月の参院選で初めて適用された「18歳選挙権」の報道と、4月に刷新した「子ども佐賀新聞」について意見を交わした。

 18歳選挙権では「政治参加をアシストする好ましい企画」と、連載などが評価を受ける一方、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた背景の深掘りや、選挙後の分析記事の充実を要望する意見も出た。

 子ども佐賀新聞に関しては、興味を持たせる紙面づくりが評価されたが、学校になじめないでいる子どもたちへのまなざしも感じさせる記事を求める声もあった。要旨を採録する。

【本社報告】

 選挙権年齢が70年ぶりに引き下げられ、7月の参院選から10代が投票できるようになった。佐賀新聞は今年の重要報道テーマと位置付け、2月から「はじめの1票」のタイトルで紙面展開をしてきた。

 「政治が難しい」と感じる若者にも分かりやすく伝えることを心掛けたが、従来の政治報道では接点がなかった世代だったため、手探りの連続だった。若者にいかに新聞を読んでもらうか、投票に足を運んでもらうかに主眼を置いた。若者の低投票率に歯止めをかけたいという狙いもあり、インターネットやスマートフォンと連動して展開した。

 地方紙として若者が新聞を手に取るきっかけをつくるため、10代を一人でも多く紙面に登場させることを考えた。2月に高校生の座談会、3月には高校生1500人アンケートを実施し、5月からは全5部にわたって連載をした。大学生に傍聴してもらった参院選の政党政策責任者座談会では、熱心な質問と真摯(しんし)な回答に、双方が接する場を求めていたのだと感じた。

 18歳選挙権報道をブームに終わらせることなく、若者と向き合う政治企画を日常的に展開していきたい。来年1月からは唐津市長選をはじめ、地方選挙が控えている。11月には再び高校生にアンケートを実施する計画で、結果をもとに連載などを企画していく。

 宮島 啓発的な紙面をもっと

 上野 小中学校も取材対象に

 牟田 選挙後の声も聞きたい

 宮島委員 新聞社がこうした企画で若者の政治参加をアシストしようとすることは大変好ましい。高校生の座談会や大学生のアンケートを見て感じたことは、とてもかわいらしいということ。大人になりたくないと思っていたり、親の世話を居心地よく感じている子が多いようだ。自分の10代の頃を考えれば、今の若者は比較的健全だと思う。

 参院選の投票率は期待されたほどではなかった。就職をすると社会的な関係に組み込まれ、政治との関わりが深くなる。この関わりは若いほど理念的で、抽象的だ。10代に現実の政治との関わりを伝えてもピンとこない。そういう意味では、教育的、啓発的で、民主主義の構成員としての自覚を促す紙面づくりがもうちょっとあっていい。

 上野委員 佐賀新聞ならではの丁寧な取材姿勢を感じた。アンケートだけでなく、高校生の声をよく拾っている。特に特別支援学校の取り組みを紹介した記事には自分も教えられた気がした。

 大手紙を含め、投票率や投票行動、若者の意識に焦点を当てがちだが、物足りない点が二つある。

 一つは18歳選挙権の前に、成人年齢引き下げの議論に触れている部分が弱かったこと。20歳を18歳に引き下げるということが、18歳を生きる若者にとってどういう意味を持つか、掘り下げてほしかった。

 具体的には、18歳選挙権は選挙の話だけではないという議論が欲しかった。それぞれに思い悩み、問題を抱えている高校生の生活課題を深掘りできればよかった。

 もう一つは義務教育との関係。高校だけでなく、小中学校でも特別活動で主権者教育は行われているはず。両者を接続させる視点は見られなかった。中学を卒業した後に就職した若者の意識も探ってほしかった。

 千綿委員 選挙権を得た高校生は、勉強しながら政治的なことも学ばなければならない。だが、こうしたことは改めてやる必要があるのだろうか。日常と密接につながる身近な問題が、選挙につながっていることも伝えるべきだ。

 連載にもあったように、投票に行かせることが主権者教育の目的になってはいけない。投票して当選した政治家が公約通りにやっているかを、大人はしっかり見ているだろうか。大人もしていないことを、子どもに要求するのは難しい。

 子ども向けに作られた紙面は、大人も一緒に読みやすい。いろいろな問題について、日常的に話をするきっかけになるのが新聞だ。選挙が生活とつながっていることをさらに具体的に伝えてほしい。

 大野委員 全体的な構成が練られ、地方紙としての志を感じた。特に新有権者をテーマにした連載第1部は見出しが秀逸だった。ただ、主権者教育や学校の今を描いたものなど、誰に読んでほしいのかがあいまいな部分もあった。図や表などのビジュアルを生かすことも考えてほしかった。

 18歳選挙権が導入された理由がダイレクトに伝わってこなかったようにも感じた。「シルバー民主主義」と呼ばれ、意思決定が高齢者を中心に行われることに危機感があったはずだが、そうした課題を一般の人に伝えてほしかった。われわれの世代が選挙に行かなくなったことが一番の問題で「その責任を感じなさい」という視点があってもいい。佐賀新聞としての提言ももう少し入れていいと思う。

 牟田座長 高校生1500人アンケートは面白かった。今の高校生は元気があり、社会のことをよく見ている。佐賀の将来について、「悪くない」という回答が多かったこともうれしかった。

 アンケートを取ったのが高校生と大学1年生だったのは残念だった。20歳すぎなど、もう少し上の世代にも聞いてほしかった。何年かの差で回答は随分違ってくるはずだ。座談会に参加した高校生に、参院選後にもう一度集まってもらってもよかった。

 アンケートでは「急に大人扱いをされて困る」という声が多かった。私自身、「子どもを大人にしていないのは誰なのか」と感じてきた。成人年齢の引き下げを巡っても、もっと報道してよかった。

 中尾社長 20代で働き始めている人が18歳選挙権をどう見たか、というのは欠けていた視点だった。

 富吉編集主幹 皆さんの意見を聞いて、選挙が終わった後の分析が大切だと感じた。投票率が意外と低かったことについて、なぜなのかをさらに分析する必要があった。

 牟田座長 これまでも佐賀新聞がこうした企画をやってきたかというと、多分そうではないと思う。今後の選挙で続けていけば県民の政治意識は高まる。

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