修復を終え、建築当初の姿によみがえった有田異人館

 佐賀県指定重要文化財の有田異人館がこのほど修復を終え、建築当初の明治9(1876)年の姿によみがえった。木造2階建てで、アーチ形の窓やステンドグラスなど外観は洋風ながら、内部は畳敷きで壁面や天井全体を和紙で覆うなど、和洋折衷の造りとなっている。

 17世紀後半より世界の中核的磁器産地として繁栄した有田も、オランダ東インド会社による1757年の積み荷を最後に、いったん公的な海外貿易が途絶えてしまう。それからおよそ1世紀、久富与次兵衛が佐賀藩から一手販売を許された天保12(1841)年を端緒として、ウィーンやフィラデルフィアをはじめとする万国博覧会で脚光を浴びるなど、幕末・明治期を舞台とした、華々しい海外輸出時代の第2幕が開いたのである。

 久富家の一手販売を継承した田代紋左衛門は、横浜と長崎に田代屋を構え、絶大な信用を得て米国や英国に販路を拡大した。また、その長男の助作も中国市場を開拓するなど、海外貿易を積極的に押し進めた。こうした時代背景の中で、助作が西洋人の宿泊や接待のため建てたのが、田代家で西洋館と称した異人館なのである。

 現在、正式公開に先駆けて11月6日までの日程で、お披露目会を開催中。館内では、有田陶芸協会作家の花器を用い、著名なフラワーアーティストのニコライバーグマン氏監修の「花と陶芸のコラボ展」が催され、華やかで幻想的な空間を堪能できる。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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