自民、公明両党は、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案を衆院通過させる時期について、当初目指した11月1日を断念し、4日とする方向で調整に入った。関係者が31日明らかにした。野党の反発が依然根強く、混乱を避けるためには配慮もやむを得ないと判断した。今国会での成立を確実にするため、小幅の会期延長も視野に入れる。野党の出方を見極めて最終判断する。【共同】

 衆院特別委員会の採決時期を巡り、与党は31日午後の特別委理事会で1日午後を提案。質疑続行を求める民進党は拒否した。3党は引き続き協議する方針だ。1日午前に一般質疑を実施することは合意した。

 自公両党は1日午後の特別委での採決を見送った場合、2日に踏み切る可能性が高い。

 憲法は条約案に関し、参院が議決しなくても衆院通過後30日たてば自然承認されると規定。11月30日が会期末の今国会では、1日の衆院通過が自然承認の期限だった。与党は他の重要法案の審議状況をにらみつつ、会期延長について慎重に検討する。

 安倍晋三首相は自民党役員会で、衆院特別委での議論に関し「充実した審議ができている。政府は丁寧に説明していく」と強調した。同党の竹下亘国対委員長は「今週中に採決できるよう努力したい」と述べた。4日の衆院本会議で採決し衆院通過させる日程を念頭にした発言とみられる。

=TPP衆院特別委 論戦のポイント=

 【豚肉の関税撤廃】

 赤沢亮正氏(自民) 豚肉の関税撤廃は、国内養豚業に大きな影響を及ぼすような内容か。

 山本有二農相 大きな影響はない。国産が競争力を持つ高価格部位の従価税は比較的低く、10年かけて撤廃される間に国内対策が進む。

 【遺伝子組み換え】

 玉木雄一郎氏(民進) TPPでは遺伝子組み換え食品の危険性を科学的に証明する責任は日本政府にある。これは非常に難しい。リスクの十分な科学的証明ができなくても事前に予防的措置を取ることができる「予防原則」に基づいて表示義務を課すことができるか。

 安倍晋三首相 わが国の制度に何ら変更を及ぼすものではない。安全ではないものが一般家庭に入ることは絶対にない。

 【肉の安全性】

 玉木氏 日本では牛や豚の成長を早める肥育ホルモンなどは使用が認められていない。米国などは使用可能で、日本への肉輸入は認めている。二重基準だ。表示の義務付けができるか。

 松本純消費者行政担当相 肥育ホルモンは時間が経過すれば排出され、検出できない。仮に不使用との表示が虚偽でもこれが検証できないので、義務表示の対象としていない。

 【畜産対策】

 福島伸享氏(民進) 畜産対策の法案の施行日はTPPの発効日になっているが、省令や予算措置でもできるか。

 農相 できる。

 福島氏 関税が下がる前に対策をすべきだ。

 農相 関税の引き下げに応じた対策なので発効後でなければ意味を持たない。

 【輸入米】

 今井雅人氏(民進) 輸入米の不透明取引問題で説明をお願いしているが、今までと変わらないものしか出てこない。

 農相 10月7日の調査結果発表時点で目的は完結しており、それ以外の調査をする必要性や課題は持ち合わせていない。

 【薬価制度】

 畠山和也氏(共産) 日本の薬価制度に影響はないのか。

 塩崎恭久厚生労働相 わが国の保険財政はTPPの下でも守りきれる。

 【地方公聴会】

 篠原孝氏(民進) 中央公聴会を開く約束を果たしていない。地方での公聴会も北海道と宮崎県でやったが、地方の声をもっと聞くべきだ。

 首相 日程などについて私が指示を出すことはせんえつな行為であり、委員会でご判断いただきたい。

 【日米・日ロ関係】

 近藤洋介氏(民進) 短い期間で国家の一大事を決めるのは非現実的だ。な

ぜ日本は前のめりなのか。12月に日ロ首脳会談がある。ロシアに接近しなければならないことに対してのオバマ政権への言い訳として、TPPを批准するという指摘がある。

 首相 その推測は全く当たっていない。ロシアとの平和条約がないという異常事態に終止符を打つ必要がある。

 【交渉の主導権】

 中川康洋氏(公明) TPP承認手続きの歩みを緩めれば、他の参加国の信頼を大きく損ねる。日本がイニシアチブを発揮すべきだ。

 首相 保護主義の流れを食い止め、しっかり自由貿易を維持していく。日本がまさにリードしながらTPPを早期発効させていくため、努力を重ねていきたい。

 【TPPの意義】

 松浪健太氏(維新) TPPの先にはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)がある。日本は有利な立場に立てるのか。

 首相 新たな国際経済システムをつくり上げる上で、わが国が主導的な役割を果たせる。

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