国営諫早湾干拓事業を巡る開門差し止め訴訟の第10回和解協議が1日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)で開かれ、地裁は基金案の議論を本年度中に終えたいとする考えを示した。国は同日までに関係4県・漁業団体の賛意を得られず、和解協議が難航して長期化する事態に、期限を示して歯止めを掛けた格好だ。 

 協議は非公開。漁業者側の弁護団などによると、基金案がまとまるのをいつまで待つのかただしたところ、裁判官は「(来年の)3月まで待つつもりはない」と答えた。来年1月17日とする次々回までの和解協議期日は決まったが、今後の進行について具体的な言及はなかったという。

 地裁の和解勧告に沿った基金案は、開門しないことが前提となっている。事業などの内容は、有明海沿岸4県や各県の漁業団体などでつくる連絡協議会が「開門の是非」に触れずに話し合っている。国は各団体に対して別の場で、開門しないことへの賛意を得たいとしている。

 国はこの日、協議会の承認を必要とする最終案の代わりに、各団体からの意見や提案を踏まえ、基金の目的などを整理して「現時点における基金案のとりまとめを行った」とする案を示した。二枚貝の養殖施設整備といった支援内容などを具体的にした一方、基金規模は提示しなかった。開門に関する賛意は現時点では長崎県以外、得られていないと説明した。

 和解協議後、漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は「国の案は中身が何もない」と批判し、「開門の議論をしなければ問題は解決しない」と強調した。

 次回の和解協議は12月12日。農水省の会見で横井績農地資源課長は「(漁業者側との議論は)平行線で苦しい状況には変わらない」と述べた。基金案の事業内容を論議する4県の協議会開催時期は「今後の和解協議を見ながら検討する」と述べるにとどめた。

このエントリーをはてなブックマークに追加