「すてきな先輩や家族に恵まれた」と話す舘林延幸さん=西松浦郡有田町の柿右衛門窯

指導用のフライス盤の前に立ち「後進育成の励みになる」と笑顔を見せる田中正直さん=佐賀市大財北町の戸上電機製作所実習室

「先輩たちに感謝したい」と受章の喜びを語る田原秀美さん=鹿島市の東亜工機

 2016年秋の褒章受章者が2日付で発表された。佐賀県内からは、その道一筋に励んだ人をたたえる黄綬褒章3人、公共の利益に貢献した人への藍綬褒章2人が受章した。黄綬褒章の舘林延幸さん(65)=西松浦郡有田町=ら3人を紹介する。

 ◆県内受章者(5人)

 ▽黄綬褒章(3人) 

舘林 延幸(65)柿右衛門窯勤務

有田

田中 正直(61)戸上電機製作所工機グループ勤務江北

田原 秀美(68)東亜工機エグゼクティブアドバイザー太良

 ▽藍綬褒章(2人)

杉岡 龍道(75)保護司武雄

三浦 祥光(66)保護司佐賀

■柿右衛門窯 舘林延幸さん(65)

 上絵付け一筋精進40年

 有田焼の名窯、柿右衛門窯で上絵付け一筋に歩んで42年目。昨年の「現代の名工」認定に続く栄誉となった。職人として大切にしていることは「目を鍛えること」。物の形、色の微妙な違いを捉えるため、野山や図鑑を見てスケッチを続ける。30代から日本画の勉強も始め、県展などで多数の入賞入選歴がある。

 後進の育成も大きな役割。自分の仕事机のそばに新人を座らせ、絵の具のすり方や筆の調整の仕方から教える。小中学生にもの作りの楽しさを伝える出張授業は本年度20校を訪れる。

 有田焼創業400年の年の受章を「最高の勲章」としながらも「小さな区切り」とも。「まだまだ上がある。技術の向上に終わりはない」。職人の顔を引き締めた。西松浦郡有田町。

■戸上電機製作所 田中正直さん(61)

 フライス盤後進育てる

 戸上電機製作所(佐賀市)で43年にわたり電機の金型製作に打ち込んできた。2015年、フライス盤の「現代の名工」となり、「体と頭が動く限り後進を育てていく。受章は大きな励み」と使命感を燃やす。

 佐賀工高機械科を卒業し1973年に入社。先輩の仕事を見て学び、技術の精度を上げた。プラスチック金型も手掛けてきた。

 昨年度からは「技能五輪」に出場する20代の指導に力を入れる。

 基本や複雑な技術を教えるが「機械加工にはいろんなやり方があり、正解はない。考える力が大事だから見守るようにしている」。製品開発時、困難を乗り越えられる人材を育てる決意を口にする。杵島郡江北町。(大田浩司)

■東亜工機 田原秀美さん(68)

 金属加工50年の技伝授

 大型船舶エンジンの部品、シリンダライナのトップメーカーとして知られる東亜工機(鹿島市)で、50年近く部品の製造に尽力。先人の技術を受け継いで発展させ、「大変光栄に思っている。先輩たちに感謝したい」と喜びを語る。

 シリンダライナなどの部品を、熱による膨張などを計算しながら「100分の1ミリ以内」といった正確さで旋盤やボーリング加工してきた。5年前から担当アドバイザーになり、技能習得道場の機械加工部門で後進を育てる日々を送る。社員が「技能五輪」に出場する成果も出ている。

 機械の進歩で、コンピュータによる制御が可能になった現在も、「工具の選定や機械のメンテナンスは人の手がいる。基本を伝えていきたい」。藤津郡太良町。

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