「唐津の眺め」(1968年・40号、個人蔵)

「呼子の船」(1948年・10号、親和アートギャラリー蔵)

 「天成の画家」とも称される独立美術協会の重鎮・野口彌太郎(1899~1976年)の没後40年に合わせた特別展が5日、唐津市近代図書館美術ホールで開幕する。長崎とゆかりが深い画家として知られる野口は、親類がいる縁で唐津を数回訪れたこともある。今回は油彩画を中心に70点を展示、唐津の風景を伸びやかなタッチで描いた2点も並ぶ。

 唐津をテーマにしたのは「呼子の船」(1948年・10号)と「唐津の眺め」(68年・40号)の2作品。

 「唐津の眺め」は、週刊誌の依頼を受けて取材で唐津を訪れ、描いたとされる。松浦橋のたもとから見た夕焼けの景色を独特の伸びやかなタッチで表現した。左上に完成後間もない唐津城の天守閣、右下に白い船を置き、奥行きを持たせている。

 同館学芸員の松谷由香里さんは「『呼子の船』は戦後すぐで抑えた色調なのに対し、『唐津の眺め』は色彩が鮮やかになっている」と指摘。2度目のヨーロッパ留学を経て、野口の作風の変化がうかがえる。

 長崎や東京、ヨーロッパの風景を描いた作品も並ぶ。野口は海沿いの風景を愛したという。松谷さんは「ただの風景ではなく、人の営みが感じられる風物を描いた作品を楽しんで」と話す。

 12月11日まで(月曜休館)。一般500円、市内の75歳以上250円、高校生以下、障害者無料。期間中、作品解説やギャラリートークも予定している。問い合わせは同館、電話0955(72)3467。

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