リーダー教員を養成するコースで、学校内外での連携や協働をテーマに議論する現職教員の院生(手前の6人)=10月上旬、佐賀市本庄町の佐賀大学教職大学院

 佐賀大学に4月に設置された教職大学院が、学校で中核を担うリーダー教員の養成に取り組んでいる。教職大学院は、即戦力になる新人の育成も柱に、各都道府県で設置が進んでおり、佐賀大は修士課程を衣替えする形で設置した。県教育委員会との連携で、学校現場での対応力を高める実践的な教育が進んでいるが、全国では定員割れをしている大学院も目立ち、今後の院生確保が課題だ。

 佐賀大の大学院には定員20人に対し、現職の小中高教員10人と学部卒11人の計21人が入学した。リーダー教員の養成や授業の実践力向上、児童福祉や特別支援教育の視点から子どもを支援する教員養成の3コースに分かれ2年間学ぶ。現職教員の給与は保障される。

 佐賀大の養成課程の特徴は、県教育委員会との緊密な連携だ。両者は2005年から連携協定を結び、県教委が小中学・高校の現職教諭を大学院に教師役として派遣している。こうした役割は他大学では退職教員が務めることが多いが、佐賀大学は現職の「実務家」が中心だ。上野景三教授(60)は「現場感覚を持った最適な人材。現職なら再び現場に戻り、研究成果の還元もできる」と話す。

 教職大学院制度が創設された背景には、いじめや不登校の問題に対応できる能力の高い教員や、50代が大量退職した後にリーダーになる教員の育成が急務になっている状況がある。

 そのため佐賀大では、大学院の研究者と実務家の教員が協力して指導し、実習科目の単位が全体の約4分の1を占める実践重視のカリキュラムを組み、理論と実践の結び付きを強めている。9月に県教育センターなどで実習した佐賀商業高校の中西美香教諭(47)は「学校では校外研修に参加できる人数が限られているから貴重な経験。学校での担当領域にとどまらず学校経営全般の視点も養える」と手応えを感じている。

 教職大学院は全国に45校あり、前年度から18校増えた。だが、院生の確保に苦心する大学院も目立ち、本年度は国立大学法人の39校のうち12校が定員割れをした。修士課程を併設している場合、そこで専門教科を学ぶ傾向がある。佐賀大の2期生を選抜する入試の合格者数は定員より2人少ない18人にとどまり、2次募集を検討している。

 上野教授は「ベテラン教員が大量に退職してしまうと、現場だけでは若手の教育は難しくなる」と教職大学院の役割を強調する。その上で「学部卒業者へ実際に高い実践力を身につけさせ、現職教員の再教育の場としても機能することが院生の確保につながる」と養成課程の一層の充実を図る姿勢を示す。

■教職大学院 専門職大学院の一つで、2008年に制度が始まり、12年には国が各都道府県への設置を決めた。現在は38都道府県に広がり、来年度は新たに8校が新設される計画。研究者養成の役割も担う大学院修士課程とは異なり、教員養成に特化している。

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