カラスウリの実

 木は葉を落として秋から冬へ向かうこの時期。つるを伸ばして木々に絡みつき、葉を茂らせていたカラスウリも実りのときを迎えます。葉は枯れ落ちてしまうので、目につくのは卵ほどの大きさの、つるりとした赤橙色の果実。その実はあまり鳥たちには好まれないようですが、人は薬として利用してきました。

 果肉や果汁はしもやけやひび、あかぎれなどの症状を和らげ、種子は王瓜仁(おうかにん)という生薬、咳(せき)や痰(たん)のくすりに。根も王瓜根(こん)といい、黄疸(おうだん)や利尿に効果があります。カラスウリの花が咲くのは夏の終わりの夕暮れ。白い花びらの縁は糸状に裂けて広がり、まるで火花を散らす線香花火のようです。花は日が昇るころには閉じ、人の目に触れることはありません。しかし、結ばれる果実は人をひきつけてやまない赤。それはまるで夏の名残を詰め込んだ太陽のようです。

(中冨記念くすり博物館)

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