ネパール出身の女子児童に日本語を教える指導教員の西村常裕さん=佐賀市の本庄小

 日本語が苦手な海外出身の児童や帰国子女が佐賀県内で増えていることを受けて本年度、日本語指導教員が佐賀市の小学校2校に1人ずつ配置されている。適切な指導方法を探りながら、周りの児童に異なる文化や習慣を受け入れる素地をどう育むか。模索する現場を歩いた。

■佐賀市の日本語指導教員、模索 

 ネパールから来日して2年になる小学4年の女の子が母国を紹介する文章を考えていた。9月下旬の本庄小学校。隣に座る日本語指導教員の西村常裕さん(53)が「てにをは」の誤りを消しゴムで消してあげて、適切な表現を考えさせる。

 授業を受ける普段のクラスとは別の教室。女の子は数字を漢字で書いているとき「はあ、きつい」と漏らしたが、正しく書き上げて「素晴らしい」と褒められると、笑みを浮かべた。

■周囲の理解促進識者「学校も努力を」

 県教育委員会によると、県内で日本語の指導が必要な小中学生は5月1日現在、37人いる。外国籍が24人、日本国籍が13人で増加傾向にあるという。母国語や得意な言語は中国語、英語、韓国語が多い。

 指導教員は小学校教諭の免許を持ち、学級担任を補助する。県内の定住外国人の3割が暮らす佐賀市では例年、海外出身者が転入する。指導教員は、児童が比較的に多い本庄小と神野小に県教委が4月に配置した。

 児童は日常会話ができても学習用語は苦手だ。「辺が平行とか直角に交わる線とか、単語の意味を理解し学習に結びつけるまでは時間がかかる」。神野小の指導教員、伊井喜也さん(43)は話す。来日前に成績が優秀でも、つまずくと自信を失いかねない。教科書に読み仮名を振ったり、絵を使った副教材を活用したりして理解を助けている。

 1対1の個別授業は、周りの目を気にせず、児童の学習進度に応じて学習できるという利点がある。一方で、在籍するクラスへの帰属意識が薄れないように配慮も必要になる。本庄小では、全校集会で指導教員が児童の母国語のあいさつを教え、教室では外国語でのあいさつも飛び交う。

 落ち着いた学校生活を送るためには、家庭との意思疎通も欠かせない。担任や指導教員は児童の転入前、保護者と面談し、宗教の儀礼や口にできない食材を確認している。普段の連絡事項は、保護者が日本語が得意ではない場合、来校してもらい、国際交流協会から派遣された通訳やALT(外国語指導助手)を介してやりとりをする。児童に通訳してもらうときもある。

 「児童が『受け入れられている』と実感できる雰囲気づくりが大切」。海外にルーツを持つ児童生徒に集いの場を提供している松下一世佐賀大学教授(60)=人権教育=は、指導教員の役割をこう強調する。その上で「学校は集会や教室づくりを通して、周りの児童が異なる国や文化に興味を持つように促していく必要もある」と指摘し、共生社会の実現につながるきっかけづくりを求めている。

 県教委は本年度末に成果をまとめ、日本語指導を必要とする別の学校と情報を共有する考えだ。

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