肥前竜王駅での特急トラブルで長崎線のダイヤは大幅に乱れ、佐賀駅の改札も普段より混雑した=22日午後6時3分、佐賀市のJR佐賀駅

 特急同士が正面衝突の寸前で緊急停車した22日のJR肥前竜王駅(杵島郡白石町)の列車トラブル。わずか100メートル足らずの距離で大惨事は食い止められた。乗客や駅に駆け付けた周辺住民はその光景に息をのんだ。原因不明のまま列車が立ち往生した影響で運行ダイヤは乱れ、沿線の主要駅では急きょ予定変更を迫られ、いらだちを募らせる姿も。約6時間半後に全線復旧したものの、混乱は夜まで続いた。

 特急列車2台が向き合い停車したままの肥前竜王駅。異変に気付いて駆け付ける周辺住民の姿も。近くの自営業者(53)は「特に大きなブレーキ音などはしなかったので、スピードは出ていなかったと思うが、実際に列車を見て、あまりの近さに驚いた。あとちょっと、気付くのが遅れていたら…」と青ざめた表情。

 乗客約230人はその場で足止めされた。「電車の方が確実と思ったのに。予定していた会議も、もう終わるころ」。3時間近く復旧を待っていた諫早市の公務員田渕正樹さん(33)は、うんざりした表情で手元の時計を見やった。

 ホームに降りて職場などにあわただしく電話する人や、別の交通手段で目的地まで向かう人も。「近くの肥前山口駅までタクシーで行くが、JRで負担してくれるのか」と尋ねる女性に、車掌は「本部に問い合わせないと…」と戸惑うばかりだった。

 JR九州は博多駅発の長崎行きの特急を佐賀駅までの部分運休に切り替えるなど、対応に追われた。

 急きょ車両が変更されたこともあって、本来の指定席に座れない人が出るなど車内も混乱。同僚の送別会のため会社を早退して佐賀市内に向かっていた会社員の男性(57)は「説明ぐらいはしてほしい」と憤った。

 佐賀駅でも、改札口の前には赤文字で「運休」の文字が書かれたボードが設置され、しきりに運行状況を尋ねる人が後を絶たなかった。

 一部区間の運行再開が夕方の帰宅時と重なったこともあり、大幅に遅れて到着した電車からは乗客が駆け出し、改札への階段は押し合うなど騒然となった。列車通学の男子高校生は「もう3時間近く待っている。バスだともっと時間がかかるし…。早く帰りたい」とこぼした。

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