県内で給食への異物混入事案が相次いだ危機感を受け、マニュアルを作成した神埼市。各学校へ配備している

 昨年10~12月に小中学校の学校給食異物混入が相次ぎ、給食を一時中断した神埼郡吉野ケ里町。調理・納入業者が管理体制を見直して給食は2月に再開したものの、その後も混入は続き10件に上っている。町教委は教諭やPTA代表が集まる月例の会議での報告にとどめ、保護者への周知が十分に行き届いておらず、情報共有を求める声が上がっている。

 9月26日、三田川中の給食で配膳後、ステンレス製の金属片(長さ2センチ、幅2ミリ)が混入しているのを生徒が発見した。2日後、佐賀中部保健福祉事務所が町の委託業者(佐賀市)に立ち入り調査した。

 中部保健福祉事務所によると、混入したステンレスは磁気を帯びるものでアルミホイルではなく、業者の金属探知機を通すと反応があった。調理後に探知機を通した記録も確認されたため、「調理過程で混入した可能性は低い」とした。原因は特定できなかった。

 町は10月21日の献立部会で報告した。町内4小中学校の教師やPTA代表、業者など十数人が月1回集まる会議で、他の生徒や保護者への通知はしていない。部会では混入した事実を説明したが、金属片の画像資料は示されなかった。町は撮影していないという。

◆明確でない基準

 給食の異物混入については、髪の毛や野菜などに付いた虫が混入する場合もあり、県教委は公表する基準は「ケースによる」と明確ではない。吉野ケ里町教委はこれにならい、昨年12月にボタン電池が入っていた時は発生当日に公表した。

 給食再開後、職員が給食日は委託業者に通い、安全を確認している。ただ、異物混入に対応する町独自のマニュアルはなく、雇用する方針を決めた栄養士も実現には至っていない。

 9月に金属片が混入していた際に公表せず、説明も一部に限ったことについて、草場浩町教育長は「軟らかい材質で危険なものではなく、生徒も手を付ける前だった。いらぬ動揺につながるし、不安を与えることになる」、町学校教育課は「情報が一人歩きして給食への信頼が損なわれる恐れもある」と説明した。

 これに対し、町内の保護者は「このことを知らない親もたくさんいるはず。異物混入が収まっていると思われる恐れもあるのでは。異物の大小にかかわらず、町内できちんと情報を共有することが大切」と改善を求める。

◆自治体に温度差

 異物混入の公表については、市町によって対応に差が表れている。多久市教委は10月26日、多久中央小の給食で調理場のたわしの毛が混入していた際、同日に公表した。担当者は「配膳後に見つかったという発見段階も考慮した。調理中に見つかるのとは意味合いが違うし、既に口にした生徒が他にいるかもしれない」と話す。

 神埼市は5月、県内で異物混入発生が続いたことを受け、事案発生からの対応マニュアルを整備した。金属などの危険異物の場合は関係機関への報告や通報も明記し、即応できる体制を整えている。

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