西松浦郡有田町で生まれた日本磁器の原点、有田焼が今年、創業400年を迎えた。生活スタイルの変化や、安価な輸入品の増加で売り上げは低迷。窯元と佐賀県は、共通の問題を抱える全国の工芸品産地と手を携え、コラボレーション商品を開発し、新たな消費者の開拓を目指している。【共同】

◆洗練デザイン

 「これが有田焼か」「どうやって作ったの?」。9月中旬、東京・六本木の東京ミッドタウンにある展示スペースがにぎわっていた。ずらりと並ぶ有田焼は、皿の縁やおわん側面に漆の「輪島塗」(石川県輪島市)を施したり、欄間で有名な「井波彫刻」(富山県南砺市)と組み合わせてワインカップに仕立てたりしたコラボ商品だ。

 価格は数千円から、70万円近くする物も。東京都の会社員氏田治久さん(38)は「斬新な掛け合わせ。有田焼は古くさいと思っていたが、デザインも洗練され使いやすい」と驚く。

 いずれも有田焼の窯元と全国各地の工芸士、デザイナー9組が開発した商品。有田焼創業400年に合わせ、佐賀県が進めてきた事業の一環だ。県は海外の販路拡大を目的に、窯元と海外デザイナー、建築家の隈研吾さんら著名人ともコラボ。イタリア・ミラノ、パリの国際見本市で魅力を発信してきた。一連の事業で県が投入した金額は約23億円に上る。

 県によると、有田焼は最盛期の1991年に約250億円の売り上げを誇ったが、右肩下がりに。2015年は約40億円まで落ち込んだ。

◆次の100年

 苦境にあえぐのは各地の伝統工芸品も同じ。経済産業省によると、和室の激減による需要の減少や、婚礼家具を買う習慣の変化といった時代の流れ、海外産の家具や食器の流入などが要因だ。輪島市の輪島塗工房「輪島キリモト」の代表、桐本泰一さん(54)は「需要減に歯止めがかからず、担い手も産地全体で半数ほどになった」と危機感を募らす。

 「越前和紙」を手掛ける福井県越前市の五十嵐美佐子さん(66)は今回のコラボで、有田焼の照明器具開発に参加した。「越前和紙はふすまに多く使われてきたが、売り上げが激減し、先が見えなかった」と明かす。

 球形の磁器にダリア模様の「透かし彫り」を施し、内側の越前和紙を通して赤みがかった光で照らす。1個約9万円。

 デザイナーの小林佐知子さん(41)は「双方の強みでどう相乗効果を生み出すかを考えた」。自信作と胸を張る有田焼の伝統工芸士、青木妙子さん(66)は「時代の変化に合わせ、守る部分と壊していく部分を両立させないと生き残れない」と強調する。3人は今後も新商品の開発を進めていく予定だ。

 産地間のコラボを調整した「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」の赤瀬浩成社長(52)は「これまで買っていた高齢層だけをターゲットにしていても未来はない」と指摘。「時代に合わせた商品づくりやマーケティング手法など、変化を恐れずに進めば、50年、100年先でも通用する」と話している。

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