圧巻のレースは、見かけとは裏腹に危機感を背負ってのものだった。全7区間トップの「完全優勝」で7連覇を達成した鳥栖工。2位に大差をつける、ここ数年のお決まりとも言えるレース運びだったが、古川昌道監督は「ほっとしている」と安どの言葉をこぼした。

 大会前、主力の3年生のアクシデントが相次いだ。絶対的エースで主将の井手孝一が10月の岩手国体後、右足の付け根を痛め練習を一時中断。先週は吉武佑真と鶴田健太が足を痛めた。古川監督は長距離区間に1年生の起用も考えた。

 しかし最後は3人の回復具合を見極めながら決断した。「やはり3年生に託そう」

 その監督の期待に選手は応えた。1区井手はけがのことを意識せず想定通り後続をぐんぐん引き離した。30分36秒の結果に古川監督は「上出来」とうなずいた。他の二人も同様だ。4区の吉武は追い風に乗り、長丁場を一気に駆け抜け、5区の鶴田も短距離区間で2位に45秒差と快走した。

 実力に関係なく部員全員が同じメニューで練習し、補欠の3年生も裏方で懸命にチームを支える鳥栖工。一体感を強さの源にするチームは見事に逆境を乗り越えた。ただ、ゴールはまだ先だ。井手は「自分たちはまだ全国水準に達していない。けがに気をつけながらレベルアップしたい」と年末の都大路を見据えた。

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