大空へ一斉に飛び立つバルーン=10月30日、佐賀市の嘉瀬川河川敷

■競技と娯楽、調和に成功 開催時期、安全対策に課題

 19年ぶりに佐賀市で開かれた熱気球世界選手権は、10日間の日程を終えた。変形気球などを合わせて186機が参加した大会は天候にも恵まれ、見込みより11万人多い史上最多の131万人が来場した。「競技」と「娯楽」の両面が高いレベルで調和し、観客、選手双方から好評を集めた。一方、大会序盤に気球が鉄道架線に引っかかる事故もあり、熱気球大会の安全対策について課題を残した。

 大会は、公式戦のホンダグランプリが始まった10月28日から11月6日まで開かれた。31~6日の世界選手権は天候に恵まれ、強風だった1日以外は午前、午後のいずれかで飛行し、9フライト31タスク(競技種目)を実施した。

 レス・パーフィールド競技委員長が大会前に掲げていた30タスクを上回り、実力差がはっきり表れる世界選手権にふさわしい内容になった。7日に会見したレス氏は、緑化された河川敷や声援を送る大勢の観客、地域の協力などに触れ、「世界が目指すべきゴールド・スタンダード(基準)を持っている場所だ」と佐賀の環境を激賞した。

 多くの来場者の「お目当て」となっている競技気球の一斉離陸は5回で、レス氏は気球の娯楽性と競技性の調和を巧妙に狙った。象徴的だったのは、空の低層と高層で風向きがほぼ逆だった5日午前の飛行だ。

 会場から一斉離陸した気球が数十分後に会場に戻って、×印のターゲットを狙った。空域を6千フィートまで活用することで可能となった「行って戻ってくる」タスク設定で、レス氏は昨年の大会から周到に練っていた。来場者は離陸の光景とハイレベルな競技の両方を河川敷で満喫した。

 レス氏は「11月上旬は田畑の収穫時期と微妙に重なり、ターゲット(候補地)が見つけにくかった」として、大会の開催時期についても言及した。

 2000年以降、農業への影響を考慮して開催時期を11月下旬から11月上旬に変更したが、レス氏は「日程を戻すことを再考しては」と私見を述べた。ある大会関係者は「(フライト可能な)日照時間の問題もある。十分な議論が必要」と慎重な姿勢を示す。

 ホンダグランプリでは、気球が鉄道架線に引っかかる事故が発生した。パイロットの「初歩的なミス」(大会関係者)が原因で、どのパイロットにも起こり得る事故だった。風が強い中の競技となった3日午後は、離陸直後に高度を上げようとした気球が風速4~5メートルの西風に流され、会場東側の土手に衝突した。

 いずれもけが人はなかったものの、観客と気球の近い佐賀大会では、一歩間違えれば重大事故につながる危険もはらむ。安全対策の徹底は不可欠になる。

 今大会で競技委員長を退くレス氏は「今後も競技大会を継続してほしい」と佐賀大会の競技性の発展を望んだ。従来の姿に戻る佐賀大会で、競技性と娯楽性をどのようなバランスで運営するか。来年以降に向け、議論が必要になる。

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