こんなところで、この言葉を聞くとは思わなかった。7月下旬、佐賀空港が立地する佐賀市川副町であった防衛省によるオスプレイの住民説明会。住民の1人が立ち上がり、「主権在民」と声を振り絞るように発したのである◆日本国憲法前文にある、主権は国民にあるという宣言だ。オスプレイの地元空港への配備。「そんなことはあなたたち国が決めるんじゃないんですよ。私たちが決めるんですよ」と言いたかったのだろう。問答無用で押しつけないでくれと、国に打ち込む楔(くさび)のように聞こえた◆そのオスプレイのデモフライト(試験飛行)がきのう、空港周辺であった。空港の展望デッキに上がると、鈴なりの人出である。みんな真剣で、オスプレイが飛んでくると食い入るように見つめ、耳を澄ませた◆反応はそれぞれ。聞こえてくる音を「ヘリモードだと音量はかなりある」と感じる人もいれば、「こんなものか」と拍子抜けした人も。「音より心配は事故の方」との声もあった。配備は17機が計画されている。今回は1機だけの飛行だったが、これが編隊になるとどうだろうか、とも感じた◆さまざまな思いがあるだろう。数日前に、この佐賀の大空に浮かぶバルーンを見上げた時には確かに笑顔があったのに、オスプレイを見る顔には緊張感があった。決める権利は、どこにある。(章)

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