父・吉野靖義さんの遺志を継ぎ、茶室「魁」の茶室開きを行った吉野敬子さん=伊万里市南波多町

■一周忌兼ねお披露目

 伊万里市南波多町の唐津焼窯元「櫨ノ谷(はぜのたに)窯」の草庵茶室「魁(かい)」が完成し5、6の両日、招待客や一般客にお披露目した。1年前に亡くなった前窯主の吉野靖義さん(当時74)が建てたもので、娘で2代目の敬子さん(44)は「父の遺志を継ぎ、気軽に茶席を体験してもらえる場にしたい」と話す。

 靖義さんは砕いた砂岩や頁(けつ)岩を原料に、桃山時代に焼かれたわびた味わいの古唐津の復活に取り組み、他の作家にも影響を与えた。2013年に敬子さんに窯主を譲り「魁」と改名した後も、作陶と農作業の両面で土と向き合ってきた。

 その一方、「唐津焼でのわび茶に親しんでもらいたい」と茶室の建築を構想し、昨年2月に着工した。大工と相談しながら草庵式の茶室に仕上げていたが、6年前に発覚したがんが進行。数日後に畳が入れば完成という時に入院を余儀なくされ、完成を見ることなく、11月8日に永眠した。

 「楽しみにしていたので、無念だったと思う」と敬子さん。そのままになっていた茶室で一周忌の供養も兼ねて茶室開きを行い、茶会では靖義さんの茶碗や水差し、花入で客をもてなした。6日は地元の保育園児も生まれて初めての茶席を体験した。

 茶室はどの流派も使用しやすい設計という。敬子さんは「父は流派や作法にこだわらずに楽しんでほしいと考えていた。広く多くの方に利用してもらいたい」と話している。

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