米軍オスプレイによる試験飛行を受け、県内外の人たちが詰め掛けた佐賀空港展望デッキ=8日午前10時26分、佐賀市川副町

■軍事利用の懸念も強く

 曇天の田園地帯に重低音が響き渡った。8日に佐賀市川副町の佐賀空港周辺で実施された米軍オスプレイによる試験飛行。空港周辺や海上では、多くの住民や漁業者が緊張した面持ちで機影を追ったが、配備計画がある自衛隊オスプレイと同じ機種の初飛来に不安を実感。事故や有事と隣り合わせにある軍事利用そのものへの懸念も漏れた。

 佐賀市川副町などに防衛省が複数設置した陸上の騒音観測地点では、地元住民もオスプレイの位置を確認しながら計器をのぞき込んだ。機体の向きや距離で異なる騒音に「これだけでは評価はできない」と戸惑いの声が上がった。

 「着陸態勢だから、だいぶ高度が低いな」「ヘリより音が大きい気がする」

 視界不良時の離着陸経路とされる杵島郡白石町の福富マイランド公園では、ヘリモードで上空を通過した際、昼間の幹線道路周辺に近い74・7デシベルを記録した。測定場所にいたJAさが白石地区和牛繁殖部会の武富善喜部会長(67)は「近くの畜産団地で子牛が少し騒ぐ様子があった」と話し、内陸部への飛行による肉質への影響を不安視した。

 同じ経路の東側、福岡県柳川市の村山地区でも70デシベルを超えたが、農家の男性(75)は「音は思ったほどではない」。ただ、実際の運用になれば1機とは限らず、陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ケ里町)の50機のヘリも移駐してくれば、さらに状況は変わる。江崎孝治さん(66)は「問題は飛行時間帯や機体の数。夜間や編隊飛行になれば騒音は増すだろう」。

 空港周辺を巡る通常ルートの早津江川河口近くの堤防では、佐賀市川副町の大託間地区自治会長の古賀種文さん(68)が機体に視線を注いだ。ヘリより重量感のある音を感じたという。「騒音だけでなく安全性や地域振興策まで引っくるめて判断したいが、材料が足りない」。配備計画を巡る国の具体的な説明が不足しているとの認識を示した。

 緊急時の陸側ルート内にあり、空港から最も近い2~3キロの地点に位置する川副町小々森の西干拓地区。農業の内田和弘さん(60)は「近くを飛べばやっぱりうるさい。長く続けばストレスになる」とぼやいた。賛否は明確にしないものの「ここが反対すれば、別の地域に押しつけることになる。国がオスプレイを買うのをやめない限り、配備に向けた動きが全国で繰り返される」と指摘した。別の50代の農業男性は「いくら国が否定しても米軍が来ることはみんな分かっている。騒音よりも有事や治安の方がよっぽど心配」と、軍事利用の影響を懸念した。

 空港の展望デッキは県内外から訪れた850人近くの人で混み合った。空港公園付近の道路も一時渋滞し、関心の高さをうかがわせた。

=オスプレイ試験飛行=

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