玄海原発3号機の原子炉格納容器内で、水素濃度を下げるための装置を確認する原子力規制委員会の更田豊志委員長代理ら(左から2人目)=9月2日、東松浦郡玄海町(代表撮影)

 九州電力が原子力規制委員会に対し、玄海原発3、4号機の新規制基準に基づく適合性審査を申請してから3年4カ月。玄海原発では社員620人、協力会社社員約3千人(8月末現在)が働き、二千数百億円をかけて安全対策に取り組んできた。主要な工事はほぼ完了した一方、緊急時対策棟の建設や原子炉容器の圧力を逃がすフィルター付きベントの設置など積み残した“宿題”がある。

 福島第1原発事故を受け、新規制基準では重大事故の防止や事故が発生しても対処できる設備、手順の整備を求めている。安全対策では電源と冷却水確保の手段の多様化を図った。

 重大事故時の指揮拠点としては、2013年に代替緊急時対策所を設け、訓練などですでに運用を始めている。事故時はライブ映像で本店や国と連絡を取り合いながら、情報収集に当たる。100人が1週間対応できる想定だが、十分な休憩スペースがなく、非常時には過酷な環境となる。

 今年5月には、当初計画していた免震重要棟に代わり、新たに地上2階、地下2階の耐震構造の緊急時対策棟の建設を表明した。ただ、建設が始まるのは工事計画認可後で、具体的な完成時期の見通しは立っておらず、全体の工事計画は道半ばとなっている。

 水素爆発が起きた福島を教訓に、格納容器での水素爆発防止対策として、水素の濃度を下げるための触媒式水素再結合装置と電気式水素燃焼装置を設置した。放射性物質を減らした上で格納容器内の蒸気を排出するフィルター付きベントについては、自主的に設置する方針を示していたが、現在、川内原発と同様の形で取り付けるかどうか検討を続けている。特定重大事故対策のため工事は5年間の猶予が認められている。

 原子炉や使用済み燃料プールにある燃料や格納容器の破損防止では、常設ポンプに加え、可搬型ポンプを備えた。地震や津波などで外部電源を失った場合の対策では、移動式発電機などを高台5カ所の保管エリアに分散して配備した。

 津波対策では、想定の津波が4メートルのため防潮堤などは設置していないが、海抜11メートルにある中央制御室などが入る原子炉補助建屋を水密扉に交換した。原子炉冷却に使う海水ポンプは竜巻などの飛来物で損傷しないように屋根をかけ、2メートルの防護壁を整備する予定。タンクローリーや電源車などの資機材を収納する保管庫とともに、年内完了を目標に工事を進めている。

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