初の歌集「にしき江」を手にする溝口進さん=佐賀新聞鳥栖支社

■傘寿記念 入選作中心237首

 鳥栖市本町の溝口進さん(80)が傘寿の記念に、初の短歌集を出版した。佐賀新聞読者文芸欄に2001年度から10年度までに入選した作品を中心に237首を収載。歌集名はふるさとの杵島郡錦江村(現・白石町)から取って「にしき江」と付けた。

 〈送金もこれが最後ねと母よりの書留着きぬ卒業間近(まぢ)か〉。東大卒業を控えた昭和35年3月ごろ、母からの書留に添えられていた一言を見て、ふと詠んだ。朝日新聞に初投稿すると、見事入選した。

 40代後半から歌作を本格化。その後、鳥栖市に単身赴任して01年度から佐賀新聞に投稿を始め、「毎週投稿」をノルマとしてきた。テーマは家族、暮らしの中の風景、職場、趣味の登山など幅広い。

 〈妻来るを香りで迎えむ梔子(くちなし)の一枝活けて単身社宅〉。東京の妻が単身先を訪ねてくる前日、香りの良い花を一輪飾った。

 ある葬式で、亡くなった人の学友が寮歌を歌って別れを惜しむシーンが脳裏に残る。〈学寮歌唱ひし友ら手を挙げて遺影に告げりアウフビーダーゼーエン〉(独語で「また会おうぜ」の意)。

 表紙の水田が広がる白石平野の写真や表紙裏の蓮根畑の油絵、あとがきは旧錦江小や白石高の同級生が寄せた。非売品で、200部を佐賀新聞社から発行。溝口さんは長らく役員を務めた会社を辞めて11月末に東京に戻るが、「米寿記念に第2集を発行したい」というひそかな思いがある。

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