佐賀空港の滑走路上空を飛行する在沖縄米軍のオスプレイ。奥はノリ養殖網の支柱が林立する有明海=8日午前10時26分、佐賀市川副町

■知事見通し明言避ける

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画は、8日の米軍機によるデモフライト(試験飛行)で一つの節目を迎えたものの、二つの要素が影を落とす。駐屯地予定地の地権者となる県有明海漁協の対応と、佐賀空港への米軍の訓練移転に言及した安倍晋三首相の発言だ。山口祥義知事は判断時期を「そう遠くない」とする中で試験飛行を視察したが、見通しについては明言を避けた。漁協はノリ漁期後まで協議に応じない方針で、事態は来春まで大きく動かないとの見方が強まってきた。

 「初めて佐賀の空を飛んだわけなので、(議論の)一つの材料、きっかけになると思う」。デモフライト視察後、山口知事は記者団に議論加速の感触を語った。一方で「総括的に申し上げるタイミングではない」と語り、自身の所感も含めたコメントを避けた。「慎重に議論を進めたい考えが強いのでは」と県幹部。

 10月上旬、佐賀新聞のインタビューで判断時期に関して「そんなに遠くないだろう」と答えた知事。ある自民県議は「(政府予算案が固まる前の)11月議会がヤマ場になる」とデモフライト後のスケジュールを見立てていた。しかし、「佳境を迎える」雰囲気は感じられない。

 「判断の検討に入るための材料がそろっていない。12月までに判断をするのは難しい」。県幹部は背景を説明する。必要な材料として、九州防衛局への質問の未回答分、米軍訓練移転に関する首相の国会答弁の真意の確認、そして地権者への説明の三つを挙げる。中でも「地権者への説明は必須」といい、漁協の対応が鍵を握るとみている。

 防衛省による地権者への説明は、10月11日に地権者が所属する川副町内4支所の漁業者代表ら24人に行ったが、約550人に上る地権者全体の説明に至っていない。約6割が漁業者で、漁協側は「来年3月まで続くノリ漁期中は時間が取れない」と来春まで説明の場設定は困難との考えだ。

 「(米軍の)訓練の一部を佐賀で行うということで進めている」との首相発言の確認作業について、山口知事は「状況に応じて総理にお会いして確認することも必要」と言明した。県幹部は「米軍の利用要請は昨年10月に防衛相が取り下げており、訓練の移転は全国横並びの中で調整されるということを確認することになる」と強調、「首相に直接確認するのが一番いい。焦らず(来春までに)実現の方策を探る」とする。

 11月議会に向けた県議会の動きも表面化していない。「漁業者が協議に応じない状況で、議会が(受け入れを促す)決議や意見書を提出するなど難しい」と自民県議。それでも「知事が定例議会冒頭の演告や最初の一般質問で何を語るか。前向きな発言が出れば対応も変わってくる」。

 本年度のオスプレイ関連予算を昨年度分から約43億円繰り越した防衛省。省幹部は「楽観視はしていない」と明かす。十分な予算確保が困難になる2年連続の予算繰り越しは避けたいとの思いはあるものの、「必ずしも地元理解が進んでいない状況で、予算計上するのは逆効果になりかねない」と覚悟する。ただ「前向きな動きがあれば、それに対応できる態勢は取る」と、補正予算や追加要求なども検討する。

このエントリーをはてなブックマークに追加