携帯音楽プレーヤーで、チャーチルの「鉄のカーテン」演説を流す牧瀬信弘先生=佐賀市の致遠館高

共有のワークシートに書き込まれた数式=佐賀市の致遠館高

PCタブレットに世界地図が送られ、冷戦時代のヨーロッパを学ぶ1年生=佐賀市の致遠館高

 ICT教育の将来像を探る「第42回全日本教育工学研究協議会全国大会」(日本教育工学協会=JAET主催)が10月中旬、佐賀市であった。全国から1000人を超す教育関係者が集まり、2020年の学習指導要領改訂に向けたICTの環境整備や利活用の日常化を目指し情報収集や交換を行った。佐賀市の高校で行われた1人1台の端末を生かした公開授業や先進事例を紹介した基調講演、ICT活用の好例などが発表されたワークショップの様子などを紹介する。

=ICT最前線 学びをデザインする 特別版=

【公開授業・世界史】 視聴覚効果で歴史の授業

 佐賀市の致遠館高では、第2次世界大戦後の世界をテーマに牧瀬信弘先生(41)が冷戦の始まりを授業した。紙のワークシートやPCタブレットの世界地図に加え、音声や動画、生徒らによる話し合いの時間を設けるなど多角的にヨーロッパの東西分裂を教えた。

 開始5分、冷戦を世界が認識するきっかけになったイギリスの政治家、ウィストン・チャーチルの「鉄のカーテン」演説を携帯音楽プレーヤーで再生。生徒はチャーチル本人の声で英語のスピーチを聴き、電子黒板に映された英文を頼りに近くの生徒と話し合って和訳した。

 続いて牧瀬先生が電子黒板の世界地図に「鉄のカーテン」の境界線を引き、ヨーロッパが東西に分断したのを全員で確認。生徒は手元の紙の地図帳でも各国の位置を確認し、PCタブレットの白地図に鉄のカーテンを引いた。生徒の画面は先生のタブレットに表示できる。全体の進行状況を見ながら、動画でチャーチルの演説を流して視覚的にも訴えた。

 紙にPCタブレット、電子黒板を満遍なく使いながら授業は終了。1年生の女子生徒は「地図があると見やすいし、分からないことがあればすぐ調べられる」と利点を述べた。牧瀬先生は「人物の実際の声があるだけで印象は全然違う。視聴覚的に訴える効果は大きい」と話した。

【公開授業・物理】 電子黒板で「共有化」

 別の教室では物理の授業があり、一つの問題をクラスで解く過程を教室の電子黒板に映し出して「共有化」するというICTの利点を最大限に生かした授業方法が公開された。

 佐賀県教育センターの田中佳司先生(40)が、物体にエネルギーを与えた量を表す「仕事」について考える物理の授業を行った。グループに分かれた生徒は一つのファイルに同時アクセスし、問題を解いていく。その様子はグループごとに電子黒板に映し出された。

 生徒は、他グループの方式を参考に、計算の間違いがないかを確認し、先生の助言も参考にしながら問題を解いていった。女子生徒は「他の班のいろいろな意見を見ることができて、参考になった」と話した。

このエントリーをはてなブックマークに追加