タブレット端末を用いた家庭学習について報告する山本朋弘氏=佐賀市文化会館

■「10年計画」で環境、機材を整備 熊本県山江村

 「10年計画」で3小学校へのICT教育を導入している熊本県山江村の藤本誠一教育長が、ICTに不慣れな教員のため、段階的に機材をそろえることや、資金確保の方法を発表した。

 第一段階として、電子黒板や無線LAN環境を整え、教員が機材に慣れる時間を設けた。その後、タブレットを導入し、2年目にはICT支援員を各校1人ずつ配置。タブレットは年々増やし、現在は約380人の児童全員が所有する。

 あくまで「学級作り」が学習の根幹とし、板書やノート指導、話し合い活動を徹底した上でICTを絡める方針を教員間で共有しているという。授業は個人で考える時間を持った上で集団で話す「アクティブ・ラーニングタイム」を設け、内容によってアナログとデジタルを使い分ける。

 ICT教育への理解を深めるため、授業参観で保護者に公開し、ケーブルテレビでも地域に広めた。最終的に行政の視察まで行い、資金援助の道を探った。過疎対策として発行される過疎債など、補助金を利用することで実現につながったと明かした。

 2011年から取り組み、今年で6年目。今後は教員個々の指導力向上を目指す。昨年の全国学力・学習状況調査では、山江村の3校中2校が国語と算数で全国平均を上回った。

■教員の負担減、家庭で教材作り 鹿児島大・山本講師

 鹿児島大学講師の山本朋弘氏はタブレット端末を用いた家庭学習について「教員の負担が少なく、継続して実践できる」という観点から、「予習型」と「資料作成型」の学習モデルを提案した。

 山本氏は「予習型」として、子どもたちが家族にインタビューした動画を撮ったり、夜の天体撮影など教室ではできない素材を例示。子どもが自ら撮影・作成することで、教師の負担が減り、子どもにも撮影方法などの操作スキルが身に付くという利点を指摘した。

 「資料作成型」は、例えば理科の授業では、てこの原理を使った毛抜きや缶切りなどの家庭の道具を撮影し、力点などの関係や特徴を1枚にまとめる試み。作った資料を持ち寄りグループや全体で議論することで、プレゼンなどのスキルの個人差が分かる上、授業で収まらなかったものを家庭に持ち帰ることで、修正や推敲(すいこう)する時間も確保でき、子どもの思考が深まるという利点も挙げた。

 予習と持ち帰っての資料作成を通し、さらに自主的に復習し、キーボード練習などの操作スキルも身に付くような学習モデルを深めていく検証段階に入る方針を示した。

=ICT最前線 学びをデザインする 特別版=

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