下水道の配管作業が進むJR博多駅前の道路陥没事故現場=12日午後5時32分

 JR博多駅前の道路大規模陥没事故はインフラ復旧作業の大半が終了、14日にも陥没部分が完全に埋め戻され原因究明に焦点が移る。専門家の間では、地下鉄工事で岩盤の風化や地層の変化などを把握できなかったことが事故につながったとの見方が出ている。福岡市は専門家も入れ施工状況を検証する。

 陥没現場の直下では、市営地下鉄七隈線の延伸工事が24時間態勢で行われ、岩盤層にトンネルを掘り進めていた。市は約1メートル掘り進めてはコンクリートを吹き付ける「ナトム工法」を採用。トンネル上部には地下水を遮蔽(しゃへい)するため2メートル以上の岩盤を残すようにした。

 市によると、ボーリング調査などから岩盤は「強度の強い岩質」だった。だが過去に現場一帯の地質を調べた日本応用地質学会名誉会員の福冨幹男氏(78)は岩盤層に風化や亀裂は生じ得ると指摘。「コンクリート吹き付け前は強度が劣化し、崩落する可能性がある」とする。

 さらに福冨氏は「一帯は地層が波打った状態」とし、トンネル上部に2メートル以上の岩盤が保たれていなかった可能性にも言及する。

 直前のボーリング調査で、現場近くの地層が傾斜していることが判明した。トンネル天井高を約90センチ低くする設計変更が行われたが、さらに約5メートル進んだ場所で陥没が起きており、別の専門家は「改めて地層の状態を調べないといけない」と訴える。

 九州大学の三谷泰浩教授(地盤工学)は、岩盤層上部には風化が進み、水を遮る粘土化した部分があるとし「他の場所に比べ粘土化が進んでおらず、水を通しやすかったかもしれない。事前のボーリング調査では把握しにくい」と話す。

 工事を請け負った共同企業体(JV)代表の大成建設は、地盤の落ち込みなどが把握できる計測器を開発、現場に導入していた。市は想定を超える変化はなかったとみているが、「検証を進める上でのポイントになる」として計測データの提出を業者側に求めている。【共同】

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