「東ロボくん」のチームが開発した答案を書くロボット=14日午後、東京都千代田区

 2021年度を目標に東京大入試突破を目指してきた人工知能(AI)「東ロボくん」の開発チームは、今年の大学入試センター試験模試の結果を受け、東大合格を断念した。問題文などの意味を理解する能力に限界があり、点数を伸ばすのが難しいと判断したためだ。開発の過程で、多くの中高生も文章の意味理解に課題を抱えている問題が浮上。チームはAIで培った経験を生かして、子どもの読解力を上げる研究を進めたいとしている。【共同】

▽成績にバランス

 プロジェクトは11年に始まり、13年にセンター試験模試に初挑戦。これまで順調に成績を伸ばしてきた。今年の全体の偏差値は57と昨年とほぼ横ばいだが、科目差が小さくなり、ほぼすべての科目で偏差値50を超えた。

 チーム代表の新井紀子・国立情報学研究所教授は「昨年の結果はまぐれでないことが確認でき、成績にバランスが取れてきた」と評価する。

 14日に都内で開かれたチームの報告会では、科目に関係なく、意味を理解する読解力の問題で成績が伸び悩んでいることも報告された。

 例えば英語は、問題を解くのに利用するデータベースを昨年の10億単語から今年は500億単語まで大幅に増やした結果、点数が15点伸びた。

▽深層学習で悪く

 だが、1500億単語まで増やしても成績が変わらない。囲碁のトッププロを破ったことなどで脚光を浴びる、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAIの手法を取り入れると、成績は期待に反して悪くなった。

 新井教授は「東ロボくんは、そもそも意味を理解して問題を解いているわけではない。そこに限界がある」と明かす。同時に、多くの子どもたちが、読解力が不足していることも問題だと指摘する。

▽中学生と同じ

 新井教授らが中学生を対象に実施した読解力を診断するテストでは、約5割が教科書の内容を読み取れておらず、約2割は基礎的・表層的な読解もできていなかった。

 新井教授は「中学生の多くは単にキーワードを拾って読んでいる」と指摘。将来、AIが多くの人の仕事を奪うとの声もある中、記憶力と計算力に優れるAIと差をつけるためには「読解力が鍵」と強調する。

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