老いた親にどうやって車の運転をやめてもらうか、思い悩む家族も多かろう。私事で恐縮だが、今年他界したわが父も説得に応じず、84歳までハンドルを離さなかった◆危うい運転にやむなく病院の主治医に手紙を書いた。薬の副作用で運転が困難になることを説いていただき、免許返納にこぎつけた。先生も子の立場で同じ問題に直面されていたことも幸いした◆高齢運転者による事故が相次いでいる。先週、東京・立川市の病院敷地内では車を暴走させ2人が死亡。先月は横浜で認知症の疑いがある人の車が小学生の列に突っ込んだ。いずれも80歳以上。惨事になってからでは遅く、政府も対策に本腰を入れることに◆車にすり傷が増えたら要注意。多くは何らかの黄色信号を発するようだ。自覚があればいいのだが、周りもキャッチできればと思う。各警察署の窓口で自主返納の相談ができる。70歳以上は免許更新時に高齢者講習が課され、75歳以上は認知症検査が加わる。来春には「ふるい」の目がさらに小さくなり、実効に期待したい◆一方で車がないと日々の買い物、通院にすら困り、家に閉じこもりがちになる現実もある。公共交通対策が急がれることは言うまでもない。わが家は家族の願いが通じたのか、突如として父の愛車が動かなくなったことも、返納への後押しになった。(章)

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