自民・山下雄平参院議員(37)

■議員配分 人口以外も重要

 -3年前に初当選した選挙戦から憲法改正の必要性を訴えていた。

 「まだ有権者の関心は薄かったが、憲法前文と衆参両院の在り方を規定した43条はおかしい、優先して改正すべきと話していた」

 -前文のどこに疑問を感じるのか。

 「『諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』の部分。第2次世界大戦の直後、国連軍が機能し、各国は軍隊を持たずとも平和が実現される-そんな世界観で日本国憲法が作られた。宣言としては理想的で素晴らしいが、国際情勢を見ると、結果的にその試みは失敗している。理想ではなく、現実を踏まえ、日本としてどうやって安全と生存を守るのか。決意しなければならない」

 -実際には自衛隊が発足し、昨年は集団的自衛権の一部行使も認めた。

 「吉田茂首相は1946年、自衛を含む戦争をせず、軍隊も持たないと明言した。しかし、東西冷戦の激化を背景に54年、自衛隊が発足した。前文が示す憲法の立脚点とは違う読み方だと思う。昨年成立した安保法制は立憲主義を犯し、憲法をないがしろにしたとの批判があるが、この時の方がよほど大きな憲法解釈をしていると思う。どこかできちんと法体系を整理するためにも、まずは前文から見直すべきだろう」

 -43条は、国会議員を全国民の代表だと定める。

 「現行憲法だと大災害で壊滅的な被害が出て人口が激減した場合、一番困っている地域の国会議員がいなくなる。ただでさえ地方は人口減少に悩んでいるが、合わせて議員を減らしていいのか。こうした事態は憲法も想定していなかったのではないか。自民党は憲法改正草案の47条で『各選挙区は人口を基本とし、行政区画、地域等を総合的に勘案する』とした。この条文があれば、1票の格差訴訟で違憲状態にはならない。この先ずっと佐賀県から代表を出せるよう、憲法改正する必要があると思う」

 -改憲に関する安倍首相の政権運営をどう見る。

 「安保法制の成立前、有識者懇談会は集団的自衛権だけでなく、多国籍軍参加を含む『集団安全保障』も認められるとした。首相は武力行使を伴う集団安全保障は『憲法に抵触する』と明言したが、幹事長だった石破茂氏は将来的な可能性に含みを残す発言をした。ここからは報道されていないエピソードだが、首相から直接聞いた話では石破氏を厳しく注意したらしい。『将来、石破政権ができても、ここまでしか認められない』と。安倍首相は服の下にタカの爪を隠していると思われているが、そうではないのだなと思った」

 -改憲を巡る社会の空気は変わったと思うか。

 「安保法制の議論や参院選の合区を経て関心が高まっていると思う。海外からも注目されていて、7月にフィナンシャルタイムズから取材を受けた」

■略歴

 やました・ゆうへい 新聞記者を経て、2013年の参院選で初当選し1期目。自民党国会対策委員会副委員長。参院憲法審査会委員。唐津市。

 ※今村雅弘復興相=衆院比例九州、鹿島市出身=は、「改憲案」を発議するのは内閣ではなく、国会であることを踏まえ、「閣僚の立場であるため、コメントは差し控えるが、国会の憲法審査会において議論が活発に行われることを期待している」と回答した。

 ■1票の格差訴訟

 憲法が求める投票価値の平等を問う全国訴訟で、最高裁は2010年(最大格差5・00倍)と13年(4・77倍)の参院選を違憲状態とした。今夏の参院選で「鳥取・島根」「徳島・高知」をそれぞれ合区した。格差は最大3・08倍に大幅縮小したが、各地の高裁判断は合憲と違憲状態で割れている。

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