「なんか仕事なかですかね」というひと言が、思わぬ展開につながった。杵島郡白石町の池上崇さん(32)は4年前に独立したばかりの畳屋さん。10年の修業を終えて独立したものの、仕事がない。先輩の農家に相談すると、共同乾燥施設で穀物を運ぶリフトマンの仕事にありついた◆佐賀市で開かれたJA青年の主張県大会で、ユーモアたっぷりの池上さんの話に引き込まれた。農家でもないのに、JA青年部のメンバーとして活動する畳屋さんの奮闘ぶりが、すがすがしい◆別の先輩からは「肥料配達を加勢してくれんね?」。軽い気持ちで引き受けたものの、自前の軽トラックは肥料で山積み。重みでつぶれたタイヤが心配で「パンクしてしまう…」と、こわごわ配達するはめに◆農業まつりでは「のど自慢」に出場し、婚活パーティーでは女性に気に入ってもらうコツを仲間にアドバイス。学生向けの農業体験も手伝い、「食育」や「地産地消」など農家が果たす役割を肌で感じる◆池上さんが扱う「イ草」は中国産だが「4、5年もたつと黒っぽくなってくるのに対し、国産はきれいな黄金色になる。私も農家さんと同じように良い物を作りたいのです」。かつて一大産地だった県内のイ草農家は今や1軒だけ。「佐賀県産イ草を復活させてもらいたいです」。青年の夢は膨らむ。(史)

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