試験飛行の騒音を測定する九州防衛局職員=8日、佐賀市川副町の西干拓公民館

 自衛隊新型輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画を巡っては、地元住民から騒音被害を懸念する声も上がっている。8日に米オスプレイによる試験飛行が行われたが、1機による約90分間の飛行だけでは、実際に運用された場合の影響を推し量るのは難しいようだ。

 試験飛行は「騒音を体感したい」という地元の声を踏まえ、山口祥義知事が稲田朋美防衛相に要請して実施された。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のオスプレイ1機が飛来し、配備された場合の離着陸経路を周回。防衛省が空港周辺や飛行ルートの下など10カ所で騒音を測定した。結果は近く公表される。

 佐賀新聞が各測定地点の暫定最大値を確認したところ、白石町で74デシベル、柳川市で72デシベルを記録した。70デシベルを日常の音に例えると「騒がしい街頭」レベルになる。

 防衛省の説明資料によると、オスプレイは垂直離着陸時の騒音が他の輸送ヘリコプターより大きく、ホバリング時は500メートル離れた場所で100デシベルを超える。100デシベルは「電車通過時のガード下」に相当する。

 試験飛行は1機だったが、実際に配備されれば複数機で飛ぶことも多く、急発進などの訓練ではエンジンの回転数が上がり騒音レベルは高くなる。在日米軍の監視団体「リムピース佐世保」の篠崎正人さんは「訓練に即した飛行をしないと本当の騒音の影響は分からない」と指摘する。オスプレイと目達原駐屯地のヘリコプター計約70機が配備された場合、1日当たりの離着陸数は約60回で、夜間訓練も計画されている。

 そもそも、航空機騒音が心身に与える影響については、単発の最大値だけで評価するのは難しい。一般に、航空機騒音への賠償や防音工事の補助の範囲を決める際には、発生頻度や時間帯などを考慮して補正した「エルデン」という指標が使われ、測定だけで1週間を必要とする。

 オスプレイの騒音を巡っては、人の耳に聞こえにくい低周波音の問題も指摘されている。建具の振動や心理的な不快感をもたらすとされ、2010年の「普天間爆音訴訟」控訴審判決で、米軍のヘリコプターが発する低周波音と健康被害との因果関係が認められた。

 低周波音の影響を独自に調査している沖縄県によると、オスプレイの低周波音は、普天間飛行場の他の航空機より大きい傾向にあるという。琉球大工学部の渡嘉敷健准教授(環境騒音)の調査では、飛行場近くの防音工事を施した小学校内で「健康や学習への影響が懸念されるレベル」の低周波音が測定されている。

 ただ、低周波音は、国による明確な環境基準(健康を維持するための目安)が定められていない。そのため、防衛省は沖縄県の要請を受け、低周波音の影響調査を進めている。

 佐賀空港での試験飛行では、防衛省も県も低周波音の測定はしていない。県は低周波音を計測する機器を持っているが、「影響を評価できる基準がない」(環境課)として使用しなかった。

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