22日に増床オープンするゆめタウン佐賀。売り場面積は約9000平方㍍増えて約5万8000平方㍍となり、グループ最大となる=佐賀市兵庫北

 12月で開業10周年を迎える佐賀市兵庫北の「ゆめタウン佐賀」は、運営母体のイズミ(本社・広島市)が西日本に展開している104店の中でも特別な存在だ。

 開業1年目に売上高260億円を達成。以降、数字は公表していないものの、関係者は「グループで一番」と胸を張る。今回の増床で売り場面積は約9千平方メートル増えて約5万8千平方メートルとなり、規模でも再びグループトップに躍り出る。

■広域市場

 2月、現地で開かれた起工式。イズミの山西泰明社長は、開業後初となる佐賀での増床の狙いについて「まちの発展とともに人口が増えている。拡大する顧客ニーズを満たす必要があるため」と説明した。

 県内では、ゆめタウンに先行してイオン佐賀大和店(旧・ジャスコ、2000年)、モラージュ佐賀(03年)が開業。いずれも売り場面積3万平方メートルを超える巨大さで、老舗百貨店の佐賀玉屋なども力を保つ。完全な“オーバーストア”との指摘がある一方、山西社長は「西にライバルはいない。この地域ほど広域に開かれた市場は全国でも珍しい」と強調する。

 同社は来店者について、佐賀市内4割、市外6割と想定。年数回程度の来店を含めた商圏人口は県人口を大きく上回る120万人とし、今回の増床で長崎県などからもさらに誘客できるとみている。

■ターゲット

 多様化する消費者ニーズをつかもうと、流通業界はすさまじいスピードで変化を遂げている。業態別にみると、県内では売り場面積3千平方メートルを超える大型総合スーパーの販売額は減少傾向。一方、地価下落を受けて郊外から都市部へと出店を増やすドラッグストアや、ディスカウント店が低価格を武器に大きくシェアを伸ばしている。

 イオンやセブン&アイ・ホールディングスなど流通最大手であっても大型スーパー事業に苦戦。このうちイオンは、駅周辺などの人口密集地に小規模の都市型店舗を拡大中だ。少子高齢化による都市部への人口流入など、地域の特性を捉えた戦略で生き残りを模索している。

 16年2月期(単体)の売上高が前年比9・3%増と好調を維持しているイズミにしても、既存店ベースでは伸び率が鈍化している。ゆめタウン佐賀の前田孝支配人は「店とともにお客も年を重ねられる。ターゲットとする20~30代のヤングファミリー層の新規開拓が今回の増床の一番の狙い」と語る。

 テナントは34店増えて207店に拡大。増床棟には不振の衣料品を抑え、県内初出店の「ロフト」やベビー専門店などの雑貨を拡充する。「来店頻度を高めたい」と既存棟の食品売り場も品ぞろえを増やす考えだ。

 22日の増床オープンを前に、改修を終えた既存棟では今月上旬から店舗が先行オープンを始めた。迎え撃つ側の他の大型店もキャンペーンなどを打ち出している。異業態や無店舗型のネット通販なども入り交じり、県内の流通業界は激変の時を迎えそうだ。

■ドラッグストア2.2倍

 経産省の2014年商業統計によると、佐賀県内の小売業総販売額(自動車など含む)は7090億円で、10年前と比べて15.2%減少した。人口減などで全体が落ち込む中、急伸したのがドラッグストア。店舗数こそ32店減の101店となったものの、日用品や食料品も扱う大型店が増え、2.2倍の347億円を売り上げている。

 売り場面積3000平方メートルを超える大型総合スーパーの販売額は266億円(専門店を除く)で、04年と比べて39.2%の減。この10年間で3店舗減ったこともあるが、衣料品を中心に幹線道路沿いやテナントを含む専門店などへの顧客流出が影響している。

 コンビニエンスストアは418億円。店舗数は251店舗と10年前から60店舗近く減らしており、需要が減少する中で消費者による店の選別が強まっている。

 近年はインターネット販売も伸長。県内事業所の販売額は全体の1%程度だが、アマゾンや楽天などの大手資本を含めると、さらに多くの消費が流れているとの指摘もある。

=まちが動いた ゆめタウン佐賀10年=(2)

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