防衛省が島しょ防衛のため創設する特別部隊「水陸機動団(仮称)」を長崎県佐世保市に配置する計画で、その輸送手段となるオスプレイがなぜ佐賀空港に配備されるのか。佐賀空港を選んだ理由に、防衛省は主に4点を挙げる。

(1)水陸機動団を置く陸上自衛隊相浦駐屯地(佐世保市)との距離が近い(2)オスプレイが効率的に飛行できる1500メートル以上の滑走路がある(3)部隊を配置できるスペースがある(4)空港周辺が市街地化しておらず人口が少なく、騒音の問題を抑制できる。

 このほか、島しょ防衛の「水陸両用作戦」に関わる陸海空自の主要部隊が九州北部に集まっていることや、オスプレイ配備に併せて陸自目達原駐屯地(神埼郡吉野ケ里町)のヘリ約50機を佐賀空港に移駐することで市街化が進む目達原周辺の負担軽減につながることも理由に挙げている。

 九州防衛局の市川道夫企画部長はオスプレイの時速約520キロのスピードに触れ「水陸両用作戦をする部隊を早く、遠くへ運ぶ際に最大の能力を発揮できる。相浦駐屯地から遠い所に配備しても速いというメリットが生かせない」と、佐賀空港の近さを強調する。

 では現在ヘリ50機が駐留する目達原駐屯地や、佐世保近隣の自衛隊関連施設は配備先の候補になり得ないのか。機動団の拠点となる相浦駐屯地、佐賀より近い海上自衛隊ヘリ部隊がいる大村飛行場(長崎県大村市)は適さないのだろうか。

 防衛省は滑走路の長さも重視する。機動団がいる相浦駐屯地自体は整備された滑走路がない。目達原駐屯地は660メートルで、オスプレイは垂直離着陸できるため利用は可能ながら多くの燃料を費やす。「遠くに飛ぶためには1500メートル以上が必要」と九州防衛局。

 1200メートルある海自の大村飛行場は周囲に住宅が多く、オスプレイ用の駐機場を新設するための「用地がない」としている。近接の海上に設けた、民間機用の長崎空港(滑走路3千メートル)も「燃料タンクなど施設を新たに整備することが難しい」という。

 北部九州には他に熊本県の高遊原分屯地や福岡県の築城基地などもある。防衛省は「もともと消去法で佐賀空港に決めたわけではない。個別の場所についての回答は差し控えたいが、施設周辺に住宅地や幹線道路があったり、滑走路がなかったりといったところもある」と説明する。

 識者の中にはオスプレイが果たす役割に関する議論が不十分という指摘もある。沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は「そもそも水陸機動団は離島奪還のための部隊で、島しょ部での有事の際に真っ先に飛ぶわけではない。配備場所は近くでなくても構わないのではないか」と佐賀が最適地とする防衛省の説明に疑問を呈す。

このエントリーをはてなブックマークに追加