旧百﨑家住宅主屋の屋根外観=佐賀市水ヶ江(佐賀県教育委員会提供)

明治期の風情を残す中野家住宅。門柱や石垣なども合わせて登録される=藤津郡太良町伊福

 国の文化審議会(馬淵明子会長)は18日、佐賀市水ケ江3丁目の旧百崎家住宅主屋(しゅおく)と、藤津郡太良町伊福の中野家住宅を登録有形文化財にするよう松野博一文部科学相に答申した。いずれも明治期の建造物で当時の景観を伝えていることや、規範となった造形面が評価された。

 旧百崎家住宅は明治前期の木造住宅で、1931(昭和6)年に増築された。木造平屋建て(一部2階)で寄棟造(よせむねづくり)、茅葺(かやぶ)き屋根の主屋と南西側に増築された2階建ての離れがある。

 当時の所有者は、医院を経営する医者で俳人としても活躍した百崎欽一。鍋島藩の御典医を務めた石井家の武家屋敷地だった場所に建てられた。現在は百崎の子孫が所有している。

 文化審議会では「来歴の分かる武家屋敷地に建ち、茅葺きの主屋は複雑な屋根形状からなる地方的特色と質の高い武家屋敷の様相を有し、佐賀城下における往時の景観を今に伝える」と評価された。

 中野家住宅の登録は、1909(明治42)年建造で大正期に増築した木造の主屋をはじめ、門柱、石垣など計6件にわたる。現当主の中野高治さん(83)=東京都=の祖父母で、地域の発展や女性の教育に尽力した中野権六と萬亀夫妻が完成させた。当初は寮や土蔵もあり、生徒との共同生活や集会があったという。

 現存する主屋は用途が異なる主屋棟、座敷棟、納戸棟の3棟が廊下でつながる構造で、「接客や教育活動のために工夫された平面構成に近代的展開を示す」と評された。答申を受け、中野さんは「地域に貢献した祖父母の功績が間接的に認められた」と喜んでいる。

 文化審議会は、県内分を含めて計177件を答申した。近く正式に登録され、県内の登録有形文化財は38カ所102件となる。

このエントリーをはてなブックマークに追加