■トップの声を直接聞きたい

 インタビューを申し込んでいた長崎県の中村法道知事サイドから、断りの返事があった。待つこと約1年2カ月。佐賀、長崎両県は歴史的にも地理的にも緊密な関係にある。だからこそ諫早湾干拓事業の開門調査問題など政治的課題を含め、リーダーの思いを直接紹介することは大切と考え、要請を続けてきた。それだけに残念でならない。

 インタビューは昨年8月18日、県政担当記者を通じ要請した。ちょうど両県が地方創生の推進に向けた連携協定を締結した翌日にあたる。佐賀新聞の1面には県境周辺の振興や国内外からの観光客誘致などに取り組むことをうたい、中村知事と佐賀県の山口祥義知事が握手する姿を掲載している。こうした機会に、知事自らの言葉で語ってもらうことが、両県関係をさらに深化させていくと考えた。

 具体的な質問内容は(1)地方創生の連携協定について(2)新幹線長崎ルートのフル規格化の考え方(3)玄海原発の再稼働、地元同意の考え方(4)諫早湾干拓事業開門調査問題の解決に向けた考え(5)佐賀県の山口県政をどう見る-だった。

 長崎県広報課から当初は「調整がつきそう」と期待を抱かせる連絡も入ったが、「なかなか時間が取れない」「難しい。調整は進めているが…」。そして今年10月中旬に「新幹線や諫早湾など、(最初に)取材依頼があった昨年とは状況が変わっており、受けづらい状況になった」というのである。

 諫早湾干拓事業を巡っては国が今年5月、開門に代わる有明海再生のための「基金」の創設を提案。佐賀県と長崎県の対応は分かれている。新幹線長崎ルートは2022年度、リレー方式での暫定開業は決まったが、フリーゲージ開発の見通しは立っていない。再稼働に向け新規制基準に適合した玄海原発の30キロ圏内には松浦市全域や、壱岐、平戸、佐世保市の一部が含まれる。

 いずれの案件も状況が変化しているのは事実だが、だからといって、それがインタビューを受けない理由にはならないと思う。何より長崎県民はどう考えているのかを私たち佐賀県民は知りたい。現時点で表に出せないこともあるだろう。答えられなければ、答えなくて構わない。いま長崎県民の代表である知事に直接語ってもらうことは両県民にとって重要なことと考えている。

 九州北部は福岡との交流に視線が集まりがちだが、佐賀、長崎も県境を中心に密接に結びついている。伊万里市、有田町と佐世保、松浦市、波佐見町や太良町と諫早市などは、経済的にも相互に依存している地域である。だからこそ、情報の共有はもちろん、気心の知れた関係が必要ではないだろうか。

 インタビューを申し込んだ佐賀新聞の思いは昨年8月から、一貫して変わることはない。地域発展に向け、両県がどんな未来志向の取り組みができるのか、また考えているのか。関係構築のヒントを探る上でも長崎県知事には今後も、要請を続けていく。(編集局長 澤野善文)

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