佐賀、長崎、福岡の3県と政府は22日、東京都内で会合を開き、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の重大事故に備えた避難計画などの緊急時対応案を取りまとめた。内閣府が3県8市町それぞれの計画を集約、唐津市民が福岡経由で佐賀県東部に入る広域避難ルートが初めて図示された。事実上、再稼働手続きの一環とされ、政府の原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)が近く了承する。

 避難計画は福島第1原発事故後、原発から半径30キロ圏の自治体に策定が義務付けられた。玄海原発の対象は3県8市町の約26万3千人で、佐賀県内は玄海町と唐津市、伊万里市の約18万8千人が県内17市町の学校や公共施設に避難する。

 佐賀、福岡両県は今年3月、唐津市民が福岡経由で西九州自動車道や福岡都市高速を使って鳥栖、基山方面に避難することに合意。今回、それを初めて地図上に落とし込んだ。

 原子力災害対策指針では重大事故時、5キロ圏の住民は即時避難するが、5~30キロ圏はまず屋内退避し、放射線量の上昇に応じて「段階避難」する。しかし、4月の熊本地震では家屋に甚大な被害が出たことから、自宅退避が困難なケースとして「近隣の避難所で屋内退避し、仮に収容できない場合は30キロ圏内外で影響のない避難所を選定する」と初めて明記した。

 内閣府によると、玄海原発は30キロ圏に人の住む離島が20あり、全国の原発で最も多く、計画策定の焦点となった。島内避難できる長崎県の壱岐を除き、橋が架かっていない16島は悪天候で船が出せない場合、全住民を収容できる放射線防護対策施設を整備する。佐賀県内は7島のうち4島が整備済みで、残る3島も年度内に完成予定。県外では整備が2017年度にずれ込む島もある。

 この日の会合には、佐賀県の副島良彦副知事や岸本英雄玄海町長らが出席した。会合後、副島副知事は「県内外の自治体が連携して避難計画を取りまとめることができた。今後は訓練を通して一つずつ検証していきたい」と話した。

 原子力規制委員会は今月9日、玄海原発3、4号機が再稼働の前提となる新規制基準に適合していると認めた「審査書」案を了承。再稼働は17年度以降になるとみられる。

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